第29話  日常の変化

夏休みが終わり、2学期が始まった。

今日から、学校が始まる。


かすみは、高校卒業までは普段通りでと言っていたが、

そろそろ準備はしておいたほうが、よさそうだ。


「お兄ちゃん、お弁当」

「ありがとう。1人で大丈夫か?」

「うん、もう慣れたよ」

朱に交わらば赤くなるではないが、適応能力はすごい。


かすみはすっかり、現代の風習に馴染んだようだ。


肉類も全て、食べられるようになったらしい・・・

元の時代に戻れば、食べられないのだが、気にしていないようだ。


「じゃあ、行ってくる」

「うん、いってらっしゃい」

かすみは、小さく手を振る。


完全に妹だな・・・


僕の変化に気付かない人がいないはずもなく、興味本位の旧友は訊いてくる。

「佐藤、彼女出来ただろ?」

「僕に出来るわけないだろ」

「お前が、女の子とふたりでいるところを、よく見かけるぞ」

「従姪(いとこめい)だよ」

適当にあしらっておいた。


ちなみに、従姪とはいとこの娘のことだが・・・


男子はともかく、女子でも訊いてくる子たちがいる。

口にはしないが、絶対におしゃべりなおばさんになるなと、確信を得ている。


学校帰りに本屋に立ち寄り、公募の本を手にする。

イラストの公募は・・・いくつかあるようだ・・・


レジに何冊か持っていき、購入する。


「ただいま、かすみ」

「お兄ちゃん、お帰り」

「大丈夫だったか?」

「うん」

何だか、くすぐったい気もする。

妹が欲しいという、願望は叶ったのだろうが・・・


かすみは、僕がいない時は、未来の父親、豊さんと連絡を取り合っているみたいだ。


夕食後、自室に戻り、机に向かう。

「さてと、やるか」

今日も、ペンを握った。



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