第24話  この景色を

サンライズエクスプレスが入ってきて、指定のサンライズツインに乗り込んだ。

ベットが、横並びにあるので、寝ながら会話ができる。


2人用の個室だと、シングルツインの部屋もあるが、こちらは2段ベットのようなもの。

並んでおしゃべりはできない。


かすみは、それを知っていて、サンライズツインをリクエストしたのだと思うが・・・


ただ、数が少ないので、かなりチケットをとるのが大変だ。

でも、すぐに取れたが・・・

これも・・・


いや、考えるのは止めておこう・・・

旅行が終われば、かすみは教えてくれるだろう・・・

それを、待とう。


部屋に入ると、かすみははしゃいでいる。

気持ちはわかる。

大人でも、初めて見る場所は、興奮するものだ。

色んな意味で・・・


「お兄ちゃん、どっちがいい?」

「かすみが選んでいいよ」

かすみは、悩んで・・・


「じゃあ、こっち」

部屋に入って、右の座席を指差し寝ころんだ。

僕は左のベットに腰をおろす。


「いっぱい、お話しようね、お兄ちゃん」

「いや、寝かせてくれ」

「夜は長いよ」

仕方ない、付き合うか・・・

そう思っていたのだが・・・


かすみは、すぐに寝息を立てた。


「疲れてるんだな」

僕はかすみの体勢を整え、ふとんをかけた。


「まーくん、ありがとう」

とても、小さい声だが、確かに聞きとれた。


「お休み」

そっと声をかけた・・・


朝、目が覚めると、かすみは部屋の外に出て、車窓を見てた。

かすみは、すぐ僕に気がついたようだ。


「お兄ちゃん、奇麗な景色だね」

「ああ」


翌、13時7分に、出雲市駅に着いた。

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