第23話 未来人と現代人、そして・・・

東京駅のホームにいる。

となりでかすみは、わくわくしている。


未来の世界や、未来人の能力は、現代人には理解しがたいものがある。

かすみも、この時代にきて、戸惑っている事が多い。


どれだけ学習してきても、その時代の人から教わっても、限界がある。


僕もそうだ。

仮に昔に行って、この時代の事を話せば、よくてもほら吹き呼ばわりされえる。

逆に、過去の人が現代に来たら、腰を抜かすだろう。


かすみには、7つの力があると言っていた。

これまで見せてもらった力は、5つ。


1つ目は、タイムテレポート

2つ目は、酸素を他者に送り込む

3つ目は、情報好感・適応能力などの、まあエスパーだな・・・

4つ目は、本来の時間枠までは、歳を取らない。

5つ目は、一種の操作能力、まあ八百長のパワーアップ版だが・・・


そして、かすみの父親の力が、過去へ物を送る。

必要な時に、かすみが連絡すれば送ってくれるようだが・・・


お金に困らないのは、このためなのだが・・・


でも、どれも完璧ではないらしい。

特に5つめは、かなり強引なようだ。

ご都合主義とも、言えるが、そのレベルではない。


でも、かすみのいた時代では、普通なのだろう。

今の僕の暮らしが、普通ト感じるように・・・


かすみのいた2200年は、もう元の地球には戻らない。

でも、僕のいる時代の未来は、変えてほしい。


今回の旅行も、そのためにかすみが、

いや、かすみたち未来人が、仕組んだことのようだ。


僕が見た2200年の世界は、本物だろう。

とても、セットでは作れない。


でも、そこまでして、未来を変えたい。

かなり、真剣と思える。

僕に出来るだろうか・・・


僕に出来るだろうか・・・


「お兄ちゃん」

「・・・」

「お兄ちゃん」

「あっ、どうしたの?」

「緊張してる?」

「まあな」

「そりゃ、兄妹とふたりで旅行なんて初めてだからね」

「まあな」

かすみは笑っている。


突然、手を握ってきた。

(大丈夫だよ、まーくん、私を信じて)

(かすみ?)

(今は言わないで、私とがんばろう。まーくん)

(うん、わかった)

(ありがとう。よろしくね。まーくん)


かすみが、心の内を伝えてきた。

これは、3つめの力だな。


(うん、3つ目だよ、まーくん)

(かすみ・・・)

(私は、まーくんを、信じてるよ、だから・・・ね)


サンライズ出雲に乗り込む時間が来た。

「お兄ちゃん、わくわくするね。これが本物の285系なんだね」

「こいつは、未来にあるの?」

「うん、復元されて、展示されている列車のひとつだよ」

要するに実物大の、模型のようだ。


まあ、一ヶ月間は楽しもう。

かわいい妹との水入らずの旅を・・・

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