第3話 水の星
「まーくん、あれが今、2200年の地球だよ」
「地球って・・・」
そこにあるのは、僕がテレビや写真で見た、青い惑星ではない。
完全に、水の塊だった。
陸地はどこにもない。
大陸も島もない。
水そのものだ。
しかも、白いと言ったほうがいい。
「かすみ、これは・・・」
「勘のいい、まーくんなら、解るよね」
「ああ、地球温暖化の影響か?」
「うん、この時代の100年前だから、2100年かな?
地球温暖化が激しくなり、南極や北極の氷が、全て溶け始めたの」
「溶け始めた?」
「うん、何とか対策を取ろうとしたけど、もう手遅れだった。
そこで、逆を考えたの?」
「逆?」
見当はついているが、これは、かすみの口から聞いた方がいいだろう。
「ひとつは、宇宙ステーションの開発を進めて、宇宙へ移住させること、見て」
かすみは、周りを見ろと言う。
確かに、無数の宇宙ステーションがあった。
人類は、ここにいるのか?
「もうひとつは、海にシェルターを作ってそこに住まわせる。
完全に二分化されたわ」
「他の動植物は?」
「同じよ」
「太陽は?」
「幸い、海中にも届く見たい。酸素も二酸化炭素も、人工的には作らなくてすんだみたい」
「宇宙ステーションは?」
「同じだよ」
「分散はどうやって決めた?」
「ランダムに選んだの」
んなアバウトな。
「で、かすみはどっちに住んでるの?」
「私は、海の底のシェルター。」
「どうやって、行くの?水の中では呼吸はできないんじゃ」
「それが、私のふたつめの力」
「ふたつめの?」
「まーくん、これは他意はないからね」
そういうと、かすみは自分の唇を僕の唇に重ねた。
そして、何かを送り込んでくる。
これは、酸素か?
「まーくん、今君に酸素を送ったわ。これで、2時間は海中でも呼吸できる。
2時間もあれば、私のいるシェルターに辿り着けるから」
そんなに、早いのか?
もしかして、大陸棚にあたるところなのか?
「さあ、行くわよ。君を連れてきた理由を話すは」
かすみはそう言うと、僕の手を握り、水だけと化した、地球へと潜っていった。
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