最終話
儂は、気付くといつもそこにおる。
そして、話をする者達のことは直ぐに分かる。
長い年月…ずっとそうしてきたからの。
儂は、出会うその者達が愛おしい。
ずっと、その者達の助けになりたいと思ったもんじゃ。
じゃが、その願いが叶ったことは一度もない。
その者達がどうっなっていったのか…知ることはできんかった。
最初の頃は、それが受け入れられんかった。
役目を終えれば消え、目が覚めれば次の者と出会っとる。
その繰り返しじゃ。
そうして、儂はようやく気付いたもんじゃ。
儂の役目は、その者達の【今】や【選択】に、ほんの少しだけ明かりを灯すことじゃと…。
じゃから儂は、役目を終え消えゆく束の間、こう思うことにしたんじゃ…
『もう心配要らん。』と。
儂は、その者達を信じとるでの。笑。
そうして今日もまた、儂自身が儂の存在に気付き、目を覚ます。
…ほれ、もうその者は歩いて儂の方に来ておる。
ここは藤棚の花が美しく咲いておる。
気分が少しでも晴れてくれるとよいのぉ。
さぁて、お前さん、今日もしっかり頼むぞい。
お前さんの姿なしでは驚いてしまうからの。笑。
儂がお前さんをしっかり支えておるでな。
その者は、袋を片手にお前さんへ声をかけた。
「こんにちは。」
お前さんを通して、儂は心を表す。
「こんにちは。」
さて、この者とは、どれほどの時を共にできるかな―――。
都市″ぃ伝説 ひとひら @hitohila
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