第63話
お疲れ様会から数日後、放課後の時間。林間学校の話をするために僕ら生徒と担任の遠藤先生は教室に残っていた。
「今日は放課後の時間を使って、林間学校で予定している登山と飯盒炊爨の班割りを決めてもらう、じゃ、後は学級委員長さんに任せるよ」
遠藤先生はそういうと。椅子を一つかりて窓際に座る、そして変わるように男女の一組が壇上に立つ。一人は前にもカラオケの時に男子の中心にいた人物、橋本君だ。サッカー部に所属しており女子人気が高く、クラスでも誰それに告白されたという話をよく聞く、誰かと交際しているという噂は聞かないので、誰とも付き合ってないのだろう。
その隣に立つ女性は確か……そうだ、
日本人離れした美貌と言えばいいだろうか、真っ白い肌にブロンドの髪は人の目をよく引くだろう、母親がアメリカの人だとかいっていたのを聞いた、しっかりした人で自己主張も強くはきはきと喋る彼女は渡辺さんとは別にクラスの人気者だ。さて登山と飯盒炊爨の班であるが、どうしたものか、適当にどこかの班に入れてもらおうかな
「よぉ内山! 一緒に組もうぜ!」
僕の席にそう言いながら寄ってくるのはこの前もお疲れ様会をしてなんだかんだこのクラスでよくつるんでいる田中君であった、まあ彼と一緒でいいか。後3~4人かな。誰と組むべきか、須々木君や原山君は……ダメかもう組み始めてるや。
じゃあ……細川君が一人だな。細川君を入れよう。
「おー……」「歩君は私と一緒ね!」
呼ぼうと思った瞬間に取られてしまった、壇上に立っていた園田さんがいつのまに降りており細川君に声をかけていたのだった、今一歩遅かったか……。
「あれ? 細川と園田さんって名前で呼び合うくらい仲いいの?」
「あ、田中君それと内山君、まあね、中学の美術部で一緒だったの、同じクラスになるのは高校が初めて。きっと歩君の事だからおどおどして班に混じれないかと思って声かけたんだけど、もしかして誘おうとしてた?」
「ま、そんなとこかな、でも園田さんの班に入るなら、それでいいよ、僕らは別の人でも誘うかいれて貰えばいいし」
「う~ん……ちょっと待ってて!」
そういうと園田さんは別のグループの方にいってしまった、どうしたんだろう。
「細川、お前の事を今日ほど羨ましいと思った事はない、あれが同級生とかマジ羨ましい! なんで紹介してくれなかったんだよ!」
「いや、別に、同じ部活だっただけで、気にかけてもらえてるだけで、友達ってわけでもないし、同じクラスになったのも高校が同じなのも偶然だし、僕なんかが話しかけてもうれしくないだろ」
「おまたせ~、こっちで別に班組むからって他の子には言ったから改めてよろしくね、後2人くらい、入れたいかな」
そんなわけで、細川君と園田さんを加える事に、細川君は僕なんかの為に園田さんに申し訳なさそうにしていたが、当の本人は自分で決めたことだから気にしないでといった所……随分と仲の良い事だ。さて、後2人くらいか……
「ん~、別に4人でもいいんじゃないかなぁ」
見渡せばほぼ固まり始めてるので僕は面倒くさがった。
「ダメだ、ダメだ! 自慢じゃないが、俺は料理一切した事無いからな、片付けとかは手伝うが飯盒で飯なんて炊けねーよ」
「それにカレーも作る予定だったよね、僕、包丁はちょっと……」
おい、この野郎共いくらなんでもそりゃないよ……そうさなぁ。
少し遠くで小泉さんがいろいろな人に囲まれてる男女問わずだ、きっとお誘いの話なのかな、小泉さんも渡辺さんや園田さんと同じように人目を惹く美人だから人気者ってわけだ。ゲームでもサクもとい小泉さんはとてもよく料理を作ってくれた、それもかなりのハイクオリティだ、一緒になれば飯盒炊爨は楽になるだろうな……
「小泉さ~ん、ぼんくら野郎が使い道にならない、料理とか出来たでしょ、こっちの班に入らない?」
遠くにいたため、少し大きめの声で呼びかけると、人をかき分け、こちらに寄ってくる。隣からはぼんくらとは失礼なと田中君が抗議するが事実だ諦めろ。
「内山君が呼んだの?」
「っそ、こっちの田中君と細川君が料理はてんで出来ないとか言うからねぇ園田さんはどう? 料理とか出来る」
「あ、大丈夫だよ、家でもお母さんの手伝いとかしてるからね」
「僕も多少は出来るけど、やっぱ出来る人は欲しいよねって事でどう?」
「まあ良いわよ、よろしく」
「これで5人、もういいかな?」
「僕は良いと思うよ、というか周りの人もだいぶ決まってきたみたいだし」
「だな、じゃ、これで遠藤先生に申請するか」
というわけで、僕、田中君、細川君、園田さん、小泉さんの5名で神聖
「そういや、ナチュラルに小泉さんが飯作れるなんてなんで知ってたん?」
「あー……自分でお弁当持ってきてる日があるだろ、その時に聞いたんだ」
別にゲームで料理をしていた事や一緒の事を隠す必要もないが、適当な言い訳で僕はそのことを隠すことにした……林間学校まではもうすぐだ、ま、気負いすることはない、楽しむだけさ。
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