第55話

 みどりの日が終わりゴールデンウィークの祝日最後の一日こどもの日である。

まあ、今年は運よくこの後土日と続いてるからもうちょい遊べるけど。

さて、朝の時間だが、二人ともまだ来れない模様、しばらくのんびりしてますかね

何か暇つぶしできそうなもの……魔導書も学術書も読み終えたんだよなぁ。

ぼろの本でも調べてみるか。そう思い立ち調べ始める。


 結果としては案外読める場所があった、何かの足しになるような情報は出なかったが、ちなみにぼろの本で断片的に読めるものがあった本は謎の本と別アイテムに分類されていった、もしかしたら読み続けていれば何かあるかもしれない。

焚火の焚きつけ用じゃない使用用途が出来たのは嬉しい誤算だ。そんなふうにテントを片付けてからだらだらと待っていれば、二人がログインしてくる。


「おはようコージィ、相変わらずお早い事で」

「おはようサク、早起きは3文の得だからね」

「3文程度の得よりもその分寝たいわ」

「はは、それはある意味言えてるかもね、ねるさんはどう思う?」

「えっと……私も寝てたいかなぁと」

「ま、考えは人それぞれか。それじゃ距離は分からないが、すでに目視できる程度に王都は近い、遅くても日が高くなる頃には着くかな?」

「そうね、山道を超えたこっち側の魔物が何が出るか分からない所が唯一の不安材料かしら」

「王都までは平原だし敵ががらっと様変わりするって事はないと思いたいね、まあウマとグラバーの足の速さなら逃げ切れるだろうさ、とりあえず、出発だ」


 テントの片づけを終えて出発する、ここからは僕もサクもウマやグラバーに乗る事に、ねるさんはサクに同乗してもらう。ねるさんがおじいさんに連絡を取った所

どうやら一足先に転移で王都についており城門前で待っている模様。


 特に魔物に苦戦する事無く街道をのんびり進んでいく。他のプレイヤーらしき人達が狩りをしているのがいくらか見受けられた、やっぱり王都を拠点にするプレイヤーが多いのだろうな。魔物も大体がそちらに行くので道中は楽なものだった。

しばらく街道を進めば、徐々に城壁は大きくなっていく。そしてとうとうようやく僕たちは到着するのだ、予定通り日が真上に来たくらいだ。


「お~い。三人ともこっちだこっち」


おじいさんが手を振り上げて僕らを呼ぶ。


「ああ、おじいさん、あれから腰の方は大事無くて?」

「ああ、知り合いの接骨院の兄さんには無茶しないように怒られたが、何ゲームをする分には何も問題ないよ」


 おじいさんに腰の調子を聞いたけどまあ大丈夫そうで何よりだ、隣ではサクが歓喜の声を上げていた。


「到着! 王都に到着したわ! ここまで長かったわ、でもようやく王都よ! コージィ早速入りましょう!!」

「はいはい、急がない急がない。まずは魔物たちを契約状態に戻しておこう。街中で出しておく意味はないだろうしね」


 僕らはまずはここまで乗ってきた魔物を契約状態にする、お疲れ様グラバー。


「ようこそ! フォルース王国へ! 貴方方は探索者でございますか!」


 兵士に声をかけられる。この国はフォルースというのか。探索者であると答えれば簡単な質問や決まり事を聞かされその後は問題なく城門を潜り抜け僕らは王都に入ることが出来た。


「うわぁ……とても広いですね、それに人もたくさんです、ちょっとばかり目が回りそうです」


 城門を潜った先は大通りになっており、ねるさんの言う通り沢山の人が行きかっていた。


「そうだね、まずは当初の目標を達成しようか、各自で野菜が高値で売れそうなところを探そうか。グループチャットをオンにして高値で売れる店を見つけたら報告するという形でいいかな?」


 その形でいいと了承を得て一度分かれて。店の情報収集に入る。僕とサクは一人でねるさんとおじいさんは二人で行動することに、とりあえず、その辺の露天商に話しかけていくか。


 そうして、調査した結果だが、種類とわずで20ほどの野菜が入っている1箱で最高3000G程度で売れる店を発見。平均だと2000G程度。他の3人の結果次第だが。これ以上の高い店は見つけれなかった。グループチャットに連絡を入れてみるか。他の人は高値の店を見つけてるかもしれない


「こちらコージィ。一通り回ってみたけど。野菜一箱につき平均して2000ちょっとって所だ、最大だと3000くらい。特に交渉はしていない。おじいさん王都で野菜の値段ってこんなもの?」

「お、コージィ君か、思ったより高値になってるみたいだね、こちらも2000~3000Gで買い取ってくれる店が結構見つかった。普段は2000G行けば上々といった具合だったんだがね。」

「こちらサク、種芋として一箱4000Gで買い取ってくれるところがあったわ」

「へぇ。蝗害の被害はかなり甚大みたいだね。僕は芋類は持ってないな、持ってる人はサクと合流。そうじゃないのは少しでも高い所に売りに行くで行こうか」

「それでいいと思います、それと売り終わったらどうしますか?」

「それじゃぁ、今から送る王都の座標に集合でどうだい? 私が王都で拠点にする喫茶店があるんだ」

「じゃあ、それで行こう、行動開始」


 通信を終了してさっそく野菜を売ることにする。僕の持っている野菜の箱数は延べ20にも及ぶ。これだけ持てるのは運搬スキルのおかげだ。そんなものを持ってたのかと言われたら、僕ではなくカーレッジが持っているのだ。このスキルがある場合に限り。運搬スキルの数値分だけ箱が持てるのである。そうじゃない場合は筋力100ごとに一つである。ねるさんやおじいさんもこのスキルを持っている。というより僕よりも高いので更に持っている事だろう、サクもこの旅の間に運搬スキルが伸びたと言ってたし、次は更に運ぶことができると思う。まあ今回は今持っている分で満足するとしよう。しかし。ようやく肩の荷が下りてくれた。後は三人とも合流して収支報告をしようかな。そのあとは転移魔法を覚えれるオーブを買いたい所だ。








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