第37話
「もしもし。姉さんかな? 時間大丈夫」
幸いにしてログイン中だったのですぐに連絡が取れる。
「お? その声は弟か。こうして連絡を取るのは久しいな」
「そうだね。とりあえず王都最速到達おめでとうと言っておこうかな」
「はっはっは。ありがとう。結構ギリギリだったがな。そっちはどうだ森でお宝は手に入れれたのか?」
「ああ。そこそこにね。さてと。今日はそんな世間話じゃないんだ。トラブルを起こしてしまってね。紅蓮傭兵団の手を借りたいんだよね」
「ほほう。まあ聞いてやるから話してみなさい」
姉が話を進めてくるので。ここまで起きたことを全て話す。
「女の子を助けたのは感心するが。そのあとの挑発はよくなかったな。まぁ初心者狩りは私も思う所がある協力しよう。とりあえずそいつらを倒せばいいのか?」
「倒しただけじゃまた姉さん達がいない時に殴られるだけだ。だから彼らを拘束して。一筆したためてもらう。姉さんたちにはその手伝いをしてほしい」
「委細承知。で。私達は王都にいるが。セルカンドに行こうか?」
「いや。姉さんたちにはできるならサファードの近くラストル大橋に急行出来る位置にある地点にいて欲しいんだけど出来る?」
「それくらい構わん。お前は切れ者だからな。お前の考えた事ならそうそう間違いはないだろう。お前の策に期待してるぞ」
「ゲーム初心者によく言うよ。目的地についたら連絡をよろしく。それじゃ」
そう言ってから。通信を切る。さてとこれでまず三つ。
先ほどの地図のサファード側に三つの石を置く。
「凄いジャン。なんで紅蓮傭兵団にコネ持ってるジャン? 弟とか姉さんって聞こえけど。リアル知り合いジャン?」
「まぁそんなところ。さてと。彼らにも声をかけてみるか。軍師殿。次の協力者に交渉しに行くよ」
「おっけいジャン」
そう言ってから向かったのはこの前の小さな家。G.Gさんことおじいさんとねるさんの家だ。
「すみませーん。ねるさんもしくはおじいさんいますー?」
「はーい。あれ?コージィさん。こんにちは。あれ隣の子は?」
「僕は『伏龍鳳雛』ジャン。稀代の天才軍師ジャン」
「ちょっと僕の策に加担してもらってるんだ。友人ってところ」
「はぁ? えっとおじいちゃんは日課の盆栽があるから今日は10時過ぎてからログインするって。あ、来たみたい」
「ふぅ。やはり盆栽は心が癒されるねぇ。っとコージィ君じゃないか。昨日ぶり。それとそっちの派手な格好したお嬢さんは?」
「おじいさんこんにちはジャン。僕は『伏龍鳳雛』稀代の天才軍師ジャン」
「私は姜維や陸遜といった後半の軍師が好きだねぇ、若さは素晴らしい」
「どうも昨日ぶりです。軍師談議はまた後程。今日は折り入って協力していただきたい案件を持ってきまして。お時間よろしいですか?」
「若い者の悩みを聞くのも先達の役目。上がりなさい話を聞かせてもらおう」
おじいさんに家に上げてもらい。今回の事情を話す。
「そんな事情が……その女の子は今どうしてるんだい?」
「今は自由行動させております。町から出るのを邪魔されてる挙句に行動を制限させたら癇癪でも起こしそうな怒り方でしたので」
「そうかいそうかい。彼女には相談してないのかい?」
「する事はありません。僕がやろうとしている策は…………」
策の全容をおじいさんに話せば。
「コージィ君……本当にいいのかい? それをすれば後々に軋轢を生むよ」
「まあ。しょうがありませんよあいつらに煮え湯を飲ませるにはこれしかないと僕は考えておりますゆえ」
「ふむ。相分かった。乗らせてもらおう。決行はいつになるかとかは?」
「多分ですが今日中にはケリをつけたいので。リアルで12時を回った頃に」
「了解だ。策が成るよう尽力しよう」
「ありがとうございます。それではまだ渡りをつける相手がいるので」
そう言ってから家を後にする。
「あんた本当にゲーム始めてジャン? 僕でもあんな策はすぐには出ないジャン」
外に出ると軍師殿が話しかけてくる。
「初めてだよ。さてと後一人。そうじゃなくてもこれだけいれば盤石……と思いたいが」
彼はどこにいるかわからないのでフレンドリストを開き連絡してみる。
「もっしー! 牡蠣フライだぜ! コージィなんか用か?」
「悪者退治して見ません? 初心者狩りと言う悪者を」
軽いノリでそう言えば。二つ返事でOKが返ってくる。こういう人だとは思っていたが。正直わかりやすいのは助かる。所定のポイントに僕が渡りをつけた人がいるのでその人と一緒に行動してほしいと告げれば通信終了。さてこれで役者は揃った。
後は策を成すだけだ。
「さて。軍師殿には副官としてやってもらう事があるからね。この後。僕は策の為に動く。随時連絡するので手はず通りに頼むよ」
「了解ジャン。それじゃ健闘を祈るジャン」
軍師殿とこの場で一度別れる。さてと僕はサクさんを呼ぶとしよう。フレンドリストからサクさんに連絡をつける。
「もしもし? サクさん? なんとかできそうな策が思いついたから連絡させてもらったよ。」
「ホント!? 今すぐ行くから待ってなさい!」
「いや。今日は夕方だし明日の朝に話そうよ。僕はログアウトするから」
「あらそう? じゃあ12時以降中央広場でね!」
「はーい。それじゃお先に」
そういって連絡を切って僕はログアウトをする。
◇◆
ログアウトをした後は少し学校から来た宿題をしてお昼を食べてすぐに戻る。
そしてサクさん以外の他の4名へと連絡。おじいさんはまだ食事中みたいだがねるさん曰く。後10分もしたらとの事。まあそれくらいなら誤差の範囲だな。
集会所も覗いてみる。アイツがいるな。これなら大丈夫だな。
中央広場に行けば僕を待つサクさんが立っていた。妙にそわそわしているそんなに待ち遠しかったのか。
「やぁ。待たせたねサクさん」
「コージィ! ようやく来たわね! 遅いわよ。それで策は出来たんでしょう? どんな策なのかしら」
「うん。それなんだけどさ……チームを解散させてもらうよ」
僕はチームの解散ボタンをためらわずに押すのであった。
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