第7話
またしても最初の草原へと足を運ぶ、これで今日は3度目になるだろうか。
一度目はゴブリンに追われてるところを姉に助けられ。二度目はゴブリンに襲われるも撃退出来た。そして3度目だが。
草むらに隠れながら魔法を発射する、視界の先にいるのはこれまで二度の辛酸を舐めさせられたゴブリン。
しかし今回はその心配はなかった、杖の先から放たれた風の矢はゴブリンへ命中、粒子となり消えてしまう。
あの一戦でウィンドアローを一回でも当てればゴブリンが倒せると解り、自信が持てたことから、こうしてこそこそとゴブリンを倒している。
真正面からいくのはまだ出来ない、一応、手に入れた資金で服の上に着こむ皮鎧と背中を守るために外套、そして盾も購入した。
それなら、こそこそする必要が無いというわけではない、僕の現在のスキルにはHPを成長させるスキルが無い為、非常に脆弱なのである。
新しいスキルなどを習得して一刻も早くHPを上昇させるべきだろう、スキルはスキルに準ずる特定の行動の結果で身に着く。
兎にも角にもいろいろ試してみることが大切だとか、そんなことを考えながら、次のゴブリンを仕留めるべく、こそこそと草原に身を潜める僕であった。
二度目のゴブリンに襲われた場所まで到着、ここに来るまでかなりのゴブリンやウサギを倒してきた、成果は上々だ。
ステータス画面を開きスキルの項目を閲覧するもスキルは5つのまま、一向に増える兆しは見えないが、風魔法はかなりの伸びを見せている。
その他にもゴブリンの攻撃から逃げたり、その時受けたダメージを回復していたため、治癒魔法と回避も少しだけ伸びていた。
風魔法以外も鍛えないといけないが、今日はここまでだろう、メニュー画面ではリアルの時刻とこの世界の時刻がどちらも表記されている。
現在ウォレス大陸の時刻は11時程度、まだ午前中だが。リアルでは現在17時に差し掛かるといった所そろそろ母が夕飯を用意し始める頃合いだ。
その前にお風呂に入るように言われることだろう、ここらで一度、街に帰還して今日はやめにして、明日からにすることにしよう。
◇
リアルギアを外せば、そこは草原や中世の街並みではなく、自分のベッドの上から眺める天井であった。どうやら、無事戻れたらしい、よかった、いや戻れない自体が起きることを想定することから可笑しいだろう。しかしずっと同じ姿勢だったためか体がやけに硬い感じがする、少し柔軟をしておくとしよう。
それから柔軟をしたのち、母にお風呂が沸いているかを聞けば、あと少しとの事、姉の前に入れるといいのだが、姉は風呂が長いのだ。しばらく部屋で待っていれば、風呂が沸いたとの事、さっさと入るとしよう。おそらくそろそろ姉もゲームを一度やめるかと思う。風呂に入った後は、食事をして、歯を磨いて、少しだけ勉強して、さっさとベッドの中に潜り込む。夜更かしをしてゲームをするより、明日の朝に少し早く目を覚まして日課をすませてからゲームをしよう。
だが、その日は少しだけ寝付けなかった、頭から、ゲームの記憶が抜けないのだ。
草原の風、ゴブリンの雄たけび、街の喧噪、牛丼の味、その全てを思い返す。
どうやら僕はあのゲームにのめりこみ始めているようだ、姉にはもう一度お礼を言うべきだな。春休みの間、どこまで進めれるかはわからないが、精一杯やってみよう。
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