第3話

「ようこそ!【テイマー・フェレット・オンライン】の世界へ!歓迎するよ!新しい探索者さん!」


 再び二回目の暗転を終えると今度は褐色のお姉さん歳は姉と同じくらいだろうと思わしき人と席を一緒にしていた。

 髪は金髪ブロンド、褐色肌も相まって日本人にはない特有の美を感じさせる。

服装はこちらの世界の物とは違い、随分と簡素な服を着ていた。

一度文明が滅んだからという結果だろうか。だが、素朴な服だからこそ彼女の容姿が際立つというものである。

 場所はさっきの殺風景な白色空間と少々違う、椅子と机が置かれている一室だった、僕はそこにある椅子に座らされていた。


「あ、これはどうも、えっと、どうすればいいんでしょうか?」


 とりあえず、話を進めるためにも椅子に座ったまま礼をする。

すぐにゲームを始められるというわけじゃないのだろうか?


「そうかしこまる必要は無いよ、新しい探索者さん、まずはあんたの自己紹介から始めてくれると嬉しいね」


 お姉さんのその言葉と同時に、目の前に何か謎のウィンドウが出てくる。

えっと………ああ、説明書にあったキャラクター作成という奴かな?

ともすればまずは名前はまぁ、名前の「こうじ」を少しいじって「こーじ」これだと寂しいな。ちょっとだけたしてみるか、となるとこうかな、後はカタカナにしてこれでよしと。名前を入力しおわると、次は容姿の決定を行ってくださいと言う表記と一緒に姿鏡が出る。


 姿鏡には僕の顔と体が映っている、そういえば初期設定で顔や体のモデリングとかされたな、なるほどこういう利用が主なのだろか?そんなわけで、この世界での僕の容姿を決めるわけだが、あまり触る必要はないだろう。

いや、いつもの寝癖のように跳ねているくせ毛だけは整えておこう。

そうして設定を終えるとウィンドウが閉じて、お姉さんが変わるように口を開く


「《コージィ》って言うんだね?良い名前だそれに中々男前だね、これは良い探索者になるかな?」

「私はヴェロニカ、とある街の酒場で踊り子をする者さ」


 ふむ、おそらくはキャラクター作成におけるチュートリアルキャラなんだろうか。姉と同じ雰囲気を感じるキャラだ。


「次はあんたの得意なスキルを教えてくれよ、探索者になるんだ得意なことの一つ二つ、あるだろ?」


 次の質問に移り始める、次はスキルを選ぶ時間だ、説明書にあったが、この世界はスキルが物を言う。プレイヤーには「レベル」がない、だがHPやMPそして各種ステータスは設定されている、ではどういう方法で決まってるのか。

 それは「スキル」である、対応する「スキル」によってステータスの成長や増加に関わってくるのだ

 タフなキャラクターを作るにはそれに対応したスキルを素早いキャラクターを作るならそれに対応したスキルを取らないといけない。

そして、どうやら、ゲームの根幹ともいえる契約と使役の力のスキル

そして、こちらはなんだろうか、よくわからないが帰還魔法というスキルが標準装備のようだ。


 これらは特殊スキルという項目にあたる、プレイヤーしか持てないスキル、もしくは特定の魔物しか取得していないスキルなどはこれに指定される。

 さて、どんなスキルを取るか……目の前のヴェロニカさんに聞いてみるとしよう。説明書でも迷ったらまずは情報収集、いろんな人に尋ねようとあった。


「えと、ヴェロニカさんでしたよね、探索者って最初どんなスキルがあるのが好ましいんでしょうかね?」

「そうだねぇ、やっぱり契約や使役魔物がいなけりゃ自身で闘う事もあるからね武器が使えたり魔法が使えるとかの自衛手段とかかな」


 最初から魔物が仲間ってわけじゃないのか、武器を使うのはおおよそジョギング以外にはスポーツの類をやった事のない僕には難しそうだ。

となると魔法だろうか、どんな魔法があるだろうか、姉のやっていたゲームではどんな魔法も随分と派手で綺麗なものだったが。

 調べてみると、初期で覚えれると思われる魔法は7つ、炎、水、風、土、光、闇、治癒。光と治癒はバラバラなのが珍しい気がする、光=癒しなのが定番だとよく姉は言っていたし。小説でも魔法が出る時は光は神の力うんぬんで癒しの力があるなんてのが定番だった覚えがある。そして初期に習得できるスキルの種類は5種類のみだ。全ての属性を網羅するのは無理だし、ほかのスキルも覚えるのが好ましい。

魔法は二種類程度にしておくとして、攻撃と回復ができるのがバランスが取れてるかな? 攻撃っぽいのは炎かな?でも私的には風の方が面白そうな気もするし風の刃とかがあるだろうと安易な憶測で風を選ぶ。

 まあなんとかなると思う、回復はまんま治癒だろうね、これで残り3つ。魔法以外に何を取ろうか。また尋ねるとする。


「あの、そういった自衛手段の他に何か持っておくといいスキルとかは?」

「そうだねぇ接近戦にしろ遠距離で戦うにしろいざという時の回避は便利だろうね」

「それとあんたらは探索者なんだ、探索に有利なスキルは腐りはしないだろうし、何か手に職を持つのもいいかもね」


 ふむふむ、なら「回避」を取得してっと、あと二つ、探索と言うと、やっぱりカギを開けたりかな、「開錠」がそれかな。これで後一つ

 手に職かぁ、このゲームかなりのスキルの量だな、まあ成長のすべてだしそれもやむなしか、説明書によれば、初期に公開されてるスキルはほんの一部らしい。

 今後のバージョンアップや特定のクエストの報酬で手に入るスキルもあるみたいだ、これなんか魔法使いっぽいし職にもできそうだ「筆写」というスキルだ。


「えっと、僕のスキルはこんな感じですね、どうでしょうか?」

「へぇ、私が言ったような能力だね、まるで聞いてから覚えたみたいだよ」


 その通りなのだが、お姉さんはそれに気づくこともなく、次の言葉を発する。


「それじゃ、荷物を確認したら扉を開きな、ここからあんたの探索者としての新しい人生が待ってるよ」


 アイテムを選択する画面が出てきた、武器や防具を選べって事か、まあ最初の道具だし適当にっと。


「いつか街であったら、軽くでいいから声をかけておくれよ、その時までに立派な探索者になってるんだよ!」


 部屋に下へと降りる階段が急にでき、ヴェロニカさんは席を立つと、僕の方に向かい、階段を降りるように促し、激励する。

先ほど、街であったらと言っていたが、もしや彼女はチュートリアル専用のキャラじゃなくチュートリアルの為にここに召喚された存在ではないだろうか。

ゲームではそうノンプレイヤーキャラクター、NPCという奴なのかもしれない、だとしたら忙しいであろうに僕の為にお疲れさまと礼を心の中でさせてもらおう。


「はい、必ず、立派な探索者になって、ヴェロニカさんにまた会いに行きます、それでは!」


 最後にそれだけ告げて、扉を開き外へと出ることにした。

そして扉を開けた瞬間、僕が見たのは、何処までも広がるかのような。【大草原】だった。


プレイヤーステータス


【プレイヤー名】

コージィ


【ステータス】

HP:100

MP:260

筋力:10

器用:15

敏捷:14

知性:29

魅力:10

幸運:10


【習得スキル】

風魔法1/治癒魔法1/回避1/開錠1/筆写1


【特殊スキル】

契約と使役の力:☆ 帰還魔法:☆


【主な装備/アイテム】

樫の杖/布の服/革のブーツ/

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