第2話

 僕の視界が暗転する。

そしてその数秒後、真っ白な空間に飛ばされていた。


「初めまして、リアルギアのご利用ありがとうございます、貴方はVRシステムは初めてですか?」


 その真っ白な空間には一人の少女が立っていた、歳の頃は10代だろうか屈託のない笑みを向けてくる。


「あ、どうも、ご丁寧に、はい、VRゲームは初めてです」

「はい、VRシステムが初めての方ですね、私はシステムサポートAIです。AIについてはご存知ですか?」

「AI………人工知能ですよね、最近のAIは人間の感情の機微まで読み取るレベルだとか、お伺いしたことがあります」

「はい、その人工知能で間違いありませんよ、それでは話を変えますが、機体の初期設定等をしていただきます」


 どうやら、この少女はこの機体のシステムサポートの為に作成されたAIのようだ、僕の些細な言葉にも返事をした、高性能だな。

指示通りに初期設定を済ませる、ここら辺は特に手間取らないので特に感想を述べる事はないさっさと済ませてしまった。


「すでにゲームディスクが挿入されております、こちらのゲームをプレイしますか」

「えっと、ゲームのタイトルそれと取り扱い説明書があったら、確認は出来る?」

「はい、ゲームのタイトルは【テイマー・フェレット・オンライン】です説明書も閲覧可能です、開きますか?」

「うん、お願い」


 そう短く返せば僕の前には姉のやるゲームの画面で見た事があるようなウィンドウが表示される。


「スマホのスクロールの用量で読めばいいのかな? えっと、なになに」


 僕はしばらく説明書を読む、このゲームはMMORPGというジャンルのようだ。

そもがMMORPGを知らないので、それについてもさっそく調べることに、ここら辺はAIに言うと検索してくれた。どうやら、リアルギアには標準でネット検索機能が搭載されているらしい、便利だ。そしてMMORPGとはマッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲームというもので。

日本語で略するなら「大規模多人数参加型オンラインRPG」と言う物らしい。

 効き及ぶ他のゲームとは一線を画すシステムの為、正直しり込みしてしまった、大丈夫なのだろうか。そのMMORPGというジャンル部分を除いたゲームの内容について説明書を読み始めるとする。


 舞台は架空の大陸「ウォレス大陸」なんでも世界は歴史的大地震と魔物の大発生により一度文明が滅んでしまっているそうで、それから数百年が経過して文明のレベルこそ下がったものの人々は魔物の脅威が残るウォレス大陸でたくましく生きている。

 そんな中でプレイヤー達は前時代の遺跡や謎の秘境へと赴き探索し調査、解析を行う「探索者」という存在であるようだ。

 そしてそんな「探索者」には魔物と契約を結びその力を使役する「テイマー」の力が備わっている。

 魔物は先にも述べたように基本的に人間さえも襲う獰猛な存在、人間たちの脅威として存在しており。それらを克服するための力がこの契約と使役の力、しかしながら使えるものはごく一部で「探索者」たるプレイヤー達だけらしい。

そうして遺跡を発掘する「探索者」として、魔物の力を行使する「テイマー」として、この新しい世界で自らの「最高」を求めるゲームらしい。


 そのほか、世界観以外にはステータスなどの表記の見方などがこまごまと乗っていた、最後までしっかり読み終えて、説明書を読み終える。


「えっと、AIさん? 早速だけど、このゲームをプレイしてみるよ、起動? だっけしてみて」


 僕は説明書を読み終えてからじっと待っていた女の子に声をかけてお願いをする。

そうすると、AIはわかりましたの返事の後に少々お待ちくださいと言う。

少々、具体的には数秒も経ってないであろうがを待てば、そこには扉ができていた。

扉には先ほどのゲームのタイトル【テイマー・フェレット・オンライン】と書かれていた。


「この扉をくぐった先がゲームの世界となっております、存分にお楽しみください」


 僕へ向かい、一礼をして言い終えると、それ以降は少女特有の無垢な笑みを浮かべるだけだった。


「うん、ここまでお世話になりましたありがとうございます」


 いちいち、AIにお礼を言うのは変だろうか?まあ礼を失するよりはいい。そんなお礼に対してAIの少女は顔を赤くして照れていた、感情豊かなせいかAIには思えない。


「それじゃ、行ってきます!」


 最後にその言葉を少女に投げかけ扉を開く、そして二度目の暗転を経験するのだった。

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