11,文理選択&私の壁

「そういえば、忍は文理選択で理系選んでたっけ?」

「ええ、私は理系を選んだわ」

「そうなの? シノは理系なんだ。うちは文系だよ」

「でも意外だよな。いつも本を読んでる忍が理系だなんて」

「……そうね」

「もしかしてシノ、悩んでる?」

「…………私、本当は文系を目指したいのよ。でも、そんなこと親に言い出しづらくて……」

「そっか、シノのお父さん厳しいもんねぇ」

「でもよ忍。これって自分の将来を決める大事な事なんだからさ、先生も言ってた通り他人の意見じゃなくて自分の意見を大切にした方がいいぞ」

「……そうよね」

「さすがに自分の進路ぐらい好きにさせてくれるって。本をよく読んで色んな事を考えるのが得意な忍なら、上手くいくさ」

「分かったわ。今度言ってみる」

「ところで、えーいちはどうして理系にしたの?」

「俺か? 理由はないな。俺はまだ将来の夢とかまだないからさ、それなら後で取り返しがつく理系の方がいいかなって。まあ、実験とか好きだしさ」

「へぇー、そうなんだ。確かに授業よりも楽しいもんね」

「そう言う詩菜はどうなんだ?」

「うちはねぇ~、ほら化石掘るのが好きだからさ文系かなぁ。考古学って文系でしょ?」

「そうだけど。でも最近は理系の生物とかと協力したりしてるらしいわよ」

「でもねうち、あんまり数学や理科得意じゃないんだよね……」

「そんなの関係ないわ。好きって気持ちの方が大事よ」

「そうだぜ。じゃあ俺が教えてやるよ数学の極意ってやつを!」

「あなたの成績じゃ、赤点をとる極意かしら?」

「そんなっ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る