9,私の異論
私が嫌いだ。
もう生まれてから十六年。物心がついたらいつも自分の事が嫌いだった。
怖がりだった。他の子は悠々とできるのに私だけはいつも置いてけぼりだった。
負け組だった。人と何度も何度も比べられた。白旗だらけだった。
私が言うことは誰も聞いていなかった。何回言ったって。
友達がいなかった。色んな人と関わってきたけど友達はできなかった。
それはきっと私が駄目だから。
だって他の人たちだって、私を差別して仲間外れにして無視して惨めにして私の居場所を取り上げて……。
違う。
そんなはずがない。お前がそんなに劣等感を抱いているのならとっくに俺は死んでいる。
怖がりじゃない。お前ほど慎重な奴を俺は見たことがない。
人が誰かに勝つことなんて滅多にない。負ける方が多い。それよりもだ、本当に「いつも」か? 思い出してみろ、……ほら、何度も俺から勝利を奪っていってるだろう?
俺はお前ほど積極的で創造的な人間はいないって知ってる。要は世界がお前についていけてないだけなのさ。だから思うように突き進め。
友達がいないって言うが、昨日だって大事な相談を受けていたし、お前の事をリーダーだと認めてついてきてくれたこともあっただろう? あれは友達じゃないのか?
もう分かっただろう?
さあ、取り戻せ!
私が最も愛する「私」の居場所を!
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