5,木下君へ

今日は誰かを選んでインタビューをしてみるという日。

周りの男子に推されて木下君が教卓の所に立つ。

「千葉県の杉門市に住んでいます」

うん知ってる。だって私の家のすぐ近くだもん。同じ小学校だったし。木下君は中一の時に眼鏡をかけるようになっていた。

「コンタクトって怖くないですか?」

分かる。目の中に入れるのってちょっとグロいしね。

「休日はガンプラを作っています」

昔、一回だけ見に行ったことがある。その時は確か、パーツが細かくて、よくこんな物作れるなって思ったんだっけ。

「好きなポケモンはヌオーです」

あ、今も変わってないんだ……。みず・じめんタイプだから、見た目弱そうだけど結構強いんだよね。小学生の時いっぱい捕まえにいったな。

「自転車部に入っていました」

そういえばあったな~、そんな部活。多分、試験でヘルメットの問題とかあったら満点とれると思うよ。車にハネられた時に私を守ってくれたからねヘルメット。私、覚えてるよ。ハネられた次の日の木下君の顔。普段はそんなに変わらない表情だけど、その日だけは心配の色が浮かんでいたんだ。ヘルメットがなかったらきっと見れてないね。

「朝、本を読みながら寝ちゃって本を落としちゃうんですよね」

そうそう。乗る路線同じだからたまに見るけど、首がカクンっていくと一緒に本もボトンって落ちるのが面白くってつい笑っちゃうんだよね。

「将来よりも現在だと思います」

あーわかるかも。私も将来の夢とかないからつい現在の事だけしか考えられなくなっちゃうんだよね。


結論。知ってたようで知らないようでもある木下君の姿が見えました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る