4-2,塾(2)

僕は君に会いに行く。僕の友達はみんな近所に住んでるのに、わざわざ電車に乗って隣町に。

君は僕だけでは知り得ないような事をたくさん知っているから。君は常に僕の好敵手で居続けてくれるから。君と一緒にいると三時間という長い時間も一瞬で終わっちゃうから。

だから、僕は君に会いに行くんだ。


僕には夢がある。君にも夢がある。だからきっと、僕たちはそこに向かって、歩いているんだ。でも、君はそんな素振りを一切見せずに、笑顔でわからないところを一緒に相談してくれるんだ。夜も遅いのに。

だから、僕は全力で君に勝とうとするんだ。知ってるところを通ったら必ず正答する。君が悔しがる顔を見てみたいから。僕が君に勝ち越す時が一歩近づくから。

それが面白くって、僕は一学年上がるたびに一週間のうちに会う回数が増えてったよ。


でも、君が近くなりすぎたのかな。ある日突然いやになっちゃったんだ。君に限界まで会わないようにした。色々言い訳をつけて。

君はそんな風になっちゃった僕を優しく見つめ続けた。

だから、お別れの日が近づいた時、君の優しい目と君に遠く突き放されるのが怖くて、誰よりも早く君のところに行くようになったんだ。

今思うと、君は全部知ってたのかもしれないね。僕みたいな人を何度も見てきたから。


今の僕があるのはきっと君のおかげだろう。

だから、学校行きの服が統一された服になって、その校章も色褪せた頃、君に会いに行こう。

「ただいま」ってね。

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