4-1,塾(1)

「今日の授業はファイアーボールの撃ち方についてだ。最初にやり方を頭に送るから目を閉じるように」

アレー先生がそう言うので、私アカリは目を閉じた。

ここ、エリトル塾は勉強を教える塾ではなく、魔法の事を教える塾だ。四月からリリア魔法学園に入る私は楽しい学校生活を送るために魔法を勉強する事にしたのだ。

今からやろうとしているファイアーボールはら初歩的すぎて学校では教えてもらえないが、基礎なので出来ない訳にはいかない。

そんな事を考えていると頭の中に直接ファイアーボールの呪文とその完成形が入ってくる。

「見えたな? じゃあ、別空間に飛ぶからもう一回、目をつぶってくれ」

目を閉じ、もう一度開けるとだだっ広い平原に出た。なるほど、ここならいくらファイアーボールを撃っても大丈夫だろう。

「それじゃあ、送ったイメージみたいにやってくれ」

皆一斉に「火球よ起これ! ファイアーボール!」と唱えるが最初は上手くいかない。

しかし、コツをつかんだのか一人二人と見事なファイアーボールを出し始めた。

それを横目に見ていた私の手にはかすかな煙が出てるだけ。気がついたら、私以外の生徒はもう終わっていたので、まだ終わっていない私に視線が集まっていた。

私は焦る。その証拠に煙すらも出なくなっている。息が浅くなって目の前の景色が揺らいだ。

ポンッと不意に肩を叩く手があった。振り向くと同じクラスのリン君が立っていた。

「落ち着いて、アカリさん。マッチに火を着けた瞬間を思い浮かべてやったらどう?」

「…………! 火球よ! 起これ! ファイアァーボール!!」

私は言うとおりに唱えると、いつの間にか目の前に誰よりも大きいファイアーボールが出来ていた。

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