3,反抗期

「なぁお前、本当にそんなんでいいと思っているのか?」

違う。

僕は目下に伸びる影にそう言いたかった。けれど言えなかった。

「あ? そこで黙るのか? 俺はただお前に質問しているだけだ」

「……知らない、知らないよ!」

僕は今にも殴りかかってきそうな影に内心怯えた。けれど、認めるわけにはいかない。

「知らない、だと? じゃあ教えてやるよ。第一に、せっかく勉強を教えてくれたお母さんに楯突いたよな? 第二に……」

「それ以上言うな! もうお前の説教なんか聞き飽きたんだ、今日こそここから出てけ!」

「…………そうか。じゃあここでお別れだな。あばよ」

影はいともたやすく消えた。その瞬間辺りは真っ黒に染まった。黒よりも深い無に……。

それ以来僕は動かない。今日もこの暗い所で、動かない。

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