女の世界?

「入学して、もうあっという間に一週間すぎちゃったね。ゆうきちゃん慣れた?」


そう、あの再会から1週間たっていた。

美和ちゃんとは、だいぶ打ち解けてきた。


「え~??あっという間じゃないよー、やっと一週間。美和ちゃんはすぐ誰でも話しかけれたり、友達なれるけど、私そんな器用じゃないから、緊張の日々だよ。」


私はクタクタなのに、美和ちゃんは相変わらずにこやか...



「そうかなぁ~。あ、そういえば、あれから近藤くんと話した?クラスじゃ全然顔もあわせないのって、どうしたの?」


唐突な質問。

美和ちゃんらしいといえば、らしい。


「あ、ああ。なんだか気まずくって。話しかけにくいし。昔と雰囲気違うしさ。」



「そこは頑張って第一歩。せっかく幼なじみで、みんなよりリードしてるんだから。」


私は意外な返事にキョトンとした。


「え?リードって。そんなんじゃないよ、学はほんと、野球仲間だったんだって。」


「それだけ?」


いたずらっ子の様に覗き込む美和ちゃん。


「それだけ。」


と、あっけなく答えた。



「え~、そうは見えなないけどなぁ。学くん、すでにクラスでも学年でも女子から人気だよ。」



「え?そ、そうなの?そういうポジションなの?あいつって。」


「ゆうきちゃん・・・鈍い。ソフトしてる時の瞬発力どこいったー?内野でかなめのショートでしょう?いいのかなぁ~、私仲良くしちゃうぞー。」


美和ちゃんは相変わらず、突拍子ないこと言うけど、どうしてこんな話するんだろ?


「え、あ、美和ちゃんならすぐ仲良くなるね。いいと思うよ、うん。」


「ゆうきちゃん、負けず嫌いってのは知ってたんだけど、どうした~らしくないよ。」


「え?あ、確かに負けず嫌いとはよくいわれるけど、仲良くするのに勝ち負けってあるのかなー?」


私は訳が分からなくて、素直に聞いた。


「わかってないなぁ。女の世界じゃ、あるの!」


「なにそれ、ぷっ,なんか、面白い。美和ちゃんてほんと、ボール握ってる時と普段違う。」


あまりに真面目な顔で言うものだから、つい笑ってしまった。



「ちょっとー、笑い事じゃないぞ、ゆうきちゃんがそうなら、私、近藤に声、かけてみよっと。」


「うん、学も喜ぶよ、美和ちゃん男子に人気だし、かわいいし。応援る。」


私は、Good!のサインを美和ちゃんにした。



「はぁー・・・わかってないなぁ・・ほんとに。」


美和ちゃんは、椅子からのけぞってため息をした。



「え?間違ってた?今のなにか間違ってた??」


「おしえなーい、自分でかんがえなさーい。」



 

美和ちゃんは、そういって話題をかえた。

私にはよくわからないけど、学って女子に人気あるんだと知って、余計、私から話しかけることが難しく感じた。


昔の、ただの野球少年じゃなくなったのかなと思うと、少し寂しい気持ちにもなった。


それより、仮入部の手続きも迷うことなくソフト部に美和ちゃんとだして、一年生が参加できる日が、今は楽しみだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る