第3話 食事会と想定外
女子の話も少し落ち着いてきた頃、注文した料理が届き始めた。そして、みんなの分が揃ったところで各々食べ始めた。そして、有栖川から何とも言えない質問が飛んできた。
「ねぇ、どっちから告ったの?」
「凌駕さんから、零さん私と付き合って頂けませんか?って言われて、いいよって返事したよね?」
と疑問の表情で俺を見る。
「よく覚えてるね~」
「うん!」
とそんな嬉しそうな返事を可愛く微笑みながら言われては君に夢中になる他ないのだろうと思った。
「普通でつまらないな、もっとなんか無いのかよ。」
と五十嵐はつまらない様子である。対して、有栖川というと
「荻原君の言いそうな感じだね~、荻原君的には零ちゃんのどこが一番好き?」
この話は長くなりそうである。そして、興味無さげにステーキにパクついている割に目線は俺方向とか器用な事しますね、零さん。
「全部だよ。」
「えっ!」 「………」
まぁ、こうなる。「コイツ、言ったよ。」と呆れる五十嵐、興味津々?な有栖川、なんか期待してる零。三者三葉である。
「って言うと嘘くさい感じしそうだからやめるね。まぁ、この通り可愛いし、賢いし、そして何より一緒にいて心から楽しいなぁ、面白いなぁって感じられるところかな。あと、ウザっとか言う割に本当はすごく優しいところとか。」
我ながら凄いことを言った、まぁ事実だけど。このどこにでもいそうな適当男にこんな可愛い彼女がいるという事実には自分が一番仰天していることを再確認する瞬間でもあった。
「やばっ、カッコ良すぎ。達也もこんな感じになってほしい。すぐに他の子に目がいくからさぁ~。」
「努力します………。」
となぜかここにきて有栖川のお説教タイムに入り、俺と零は置き去りになった。そして、零はかなりルンルンなご様子で、これでもかと俺に寄り掛かってメニューを開いて「最初のよりこれの方が良いかな?」や食べかけの料理を「これ食べてみて」などなど痛いカップルの様になっていた。
そして、零が食事を終えたところで俺と五十嵐は会計に。俺と零で7000円であった。零、記録更新じゃね?とか思いつつ店を出た。店の外へ出ると、珍しく零はご機嫌にくっついてきた。年齢相応の胸や腕が俺の左腕を固定する………なんというか犯罪に手を染めたような気もした。
「ご機嫌ですね、なんか良いことでもありました?」
「ありました!」
「では、お聞かせ願えますか?」
「むーりー。」
「それは残念。」
とこんな答えの分かり切った質問をするのは野暮だったかな。そして、有栖川と五十嵐は「じゃあ、また昼飯行こうな」と帰っていった。
「じゃあ、零の家でいい?」
と車に乗り込んだ。すると、零はすごい事を言った。
「今日、お母さんと一緒に凌駕さんの家に泊まるからよろしく。」
「えっ?」
「明日から3連休だし、お母さんも凌駕さんの家見てみたいらしくて。いま、お母さん、仕事終わって家にいるからお母さんと荷物のっけて~……」
「あの~、お泊りは女子の友達とした方が楽しいかと思うんすけど?」
「いや、あの学校に友達いないし」
「はい、ですよね」
「じゃあ、決まりね。」
「はい。」
拒否権はないらしい。まぁ、拒否するほどのことではないが。彼女もまた俺と同じく中学を嫌っている。まぁ、「友達いないし」の責任はほぼ俺の行動が原因だから逆らう事はできない。
そして、二時間ほどかけて四宮家に到着した、現在午後4時。なかなかデカめの木造建築であり、内装もスマートである。
「運転お疲れ様、凌駕君。」
「どうもです、レイナさん。」
同じ部活であったことなどで零と付き合う前から母レイナさんとは話す機会が多く、付き合いだすとさらに頻繁となった。ちなみにレイナさんもかなりの美人であるこれで40代とかやばいでしょ。
「じゃあ、零、準備してね。お母さんは凌駕君とお茶するから。」
「わかった~」
と俺とレイナさんは居間でお茶休憩となった。話題はなぜか俺の家についてである。
「凌駕君のおうちってどの辺?」
「港都市エリアですね、高校まで20分ってところですね。」
「えー、再開発のあった超一等地じゃない。なんで?、やっぱり国がやってるから?」
と大人だけに鋭さはあるようだ。
「色々見て回って決めましたね。どうせ、国の9割負担ですし。それにあの辺は治安とか緑化も良くて結構高校の人いますよ。」
「へえ~、なんか羨ましわ~。この前、零が凌駕君の家に行ってからずっと行きたいって凄くてね~。話聞いてたら私も行きたくなっちゃって。」
ここにきて事の真相を知る。俺の家、人気すぎる………。
「末彦さんは知ってるんですか?」
「お父さんはいま沖縄に出張で明日から3連休だしみたいな」
おっとなんか同じようなフレーズを聞いた気がする。すると、準備を終えたのか、零がなかなかのサイズのキャリーバックを2個持ってきた。そして、昼飯の時とは服も変わっていた。白のニットにグレーの少し短めのスカートと俺的にどストライクなのが現実になった。何というか見惚れてしまい、フリーズした。
「何、どうしたの?、準備終わったよ。」
「ああ、うん。てか、なんで服装替えたの?」
「臨海都市エリアの方に行くから気合いれてみた!」
そんな気合入れなくていいと思うんだけどね。俺普通にスウェットでスーパーとか行ってるんだけど。
「へぇ~、可愛いね。」
「零良かったね、可愛いってさ。」
「臨海都市エリアならもっと可愛い人いるし………」
と照れているようでその姿もまた非常に可愛い。
「じゃあ行きますかね。今からだと七時前くらいには着くかな。」
今日の移動距離ってなかなかだと思う。そして、荷物を詰め込んだ。まさかのレイナさんもキャリー2個。三連休よ、そんなに必要なの。そんな事は聞ける勇気がないので黙っていた。
「じゃあ、レイナさん、俺ナビするんでお願いします。」
「えっ、凌駕君が運転するんでしょ。プラチナ免許なんだから。」
「え、あ、はい」
と親子ともにルンルンと零は助手席に、レイナさんは後部座席に乗った。そして、四宮家を後にした。
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