第2話 ドライブデート
駅に迎えに行くという使命について何ら文句はない。車で30分といったところである。まぁ、五十嵐との約束をしている駅とは反対方向であるが………。俺の高校は、入学してから思ったが他の世に言う高校とはかけ離れている。入学早々にして合宿というものがあった。何かと思えば運転免許を取得するため。俺の高校は姉妹校?というのか第二、第三と高校が日本に存在する。この三校は特例として高校入学の時点から運転免許を取得することが可能とされている。さすがは国が絡んでいるだけあると感じた。保護者の同意や料金はなぜか手配済みであった、海外で仕事しているくせに気が利く両親には頭が上がらない。
「さて、ドライブと行くか」
と陽気に、学校所有の無駄にでかい地下駐車場で巷で人気のハイブリッド車(青)に乗り込んだ。高校付近は超がつくほどの近代的いや未来的建築というのか俺の憧れている景色が広がっている。臨海部にあるので海とも相まって、いつ見ても飽きることはない。まぁ、今向かうのは内陸部の方なので田舎感があるが、それはそれでよいものがある。
30分弱経過して、あの方のいるであろう駅に着いた。レトロな雰囲気というのだろうか、木目調で心地の良い駅である。忌々しいあの中学校が近くになければ絶賛できただろう、非常に惜しい。そして、改札付近にある待合の机に数学の参考書を開き、悩む可愛らしい人がいた。
「それは背理法を使うテンプレだな、普通なら高校の領域だよ。」
「あぁ~、こういうの高校でやるの、面倒い。」
そして、俺に気付き「えっ」と驚いていた。
「じゃあ、零行くよ」
「どこ?」
「旭駅のファミレス、ここから一時間かな」
「遠くない?」
「ドライブデートといきましょう、お嬢さん」
「ウザっ」
とまぁ駅を出た。彼女の特等席は助手席であり、ルンルンと乗り込んでいた。ウザいと言ったばかりなのにな—
「あっ、今日はあの赤いカッコいい車じゃないの?」
「あぁ、学校にあれで行く勇気がないし、MTはあんまり得意じゃないんだよ」
たぶん彼女は、86の事を言っているのだろう。前のデートではかなり遠いところで高速ばっかりだから良いだろうと乗ったな………。
「じゃあ、出ますよ。」
「よろ~」
そして、少し走ると
「凌駕さんの免許証さぁ~、お母さんのと違うんだけど何で?」
「調子に乗って、色々と訓練やったらプラチナ免許ってのになったんだよ。利点としては速度が無制限ってところかな。あと何かあったけどどうでもいいなと思って忘れた。」
ちなみに零のお母さんである四宮レイナさんはゴールド免許、優良ドライバーってやつだ。それでも素晴らしいと思う。ちなみに、プラチナ免許は、視力やドライブテクニックなど厳しい試験があり俺のいる高校系列以外だと日本に1000人程度らしい。
「あ、お母さん言ってた。めちゃめちゃ難しいテストで受かる人見たことないって。凌駕さん、やばっ!」
「適当にぺぺっとやったら受かったよ~、でも年二回の講習はめんどくさい」
「うわぁ、ウザっ」
自分でも意外に思うけど受かったんだよね、これは高校合格以上にびっくりした。あ、ちなみに何で86とか持ってるかというと…俺の高校が国のものでそこに入学するのはマジで天才ばっかりで流出を防ぐためと、国の研究機関とかで研究グループに入る事もあり、月額200万とか貰ってるから(税金はなぜか免除)。親父に年俸負けた&税金高いって泣かれたな。あと、一年の時に色々と研究機関に出張って荒稼ぎして月600万に到達したな。それが原因で過労で倒れた時は零に泣かれ、怒られたな。
「ねぇ、また色々手出す気ないよね?」
「君にお説教食らったからね。もうあんまり研究には参加しないよ。あ、でもあの時の零の看病は何回でも受けたい。」
「はぁ、死ね。」
黒髪ショートカットのよく似合う167センチの長身美少女から死ねという言葉をいただくとは、一部の人種には褒美であろうと思う。そんなことをしていると、目的の旭駅のファミレスに着いた。スマホを見ると、五十嵐と有栖川はもう中にいるようだ。
「いらっしゃいませ、二名様ですか?」
「いや、待ち合わせなんで。」
としていると五十嵐から「おー、こっちな」と言われ、四人席に腰かけた。すると、有栖川がとりあえずメニュー決めてからということで、俺は和風キノコパスタ、有栖川はサラダうどん、五十嵐は鶏南蛮定食と決めた。すると、零は小声で俺にこう言った。
「何食べてもいいの?」
「ご自由にどうぞ」
「じゃあ、とりあえずこの新作のステーキとチキングリルと牛タン定食と、うーん………苺パフェ。」
五十嵐と有栖川は絶句、まぁ当然かな。
「サラダ系はいいのか、肉だけだぞ。」
「あ、じゃあ温野菜サラダも!」
「はいよ~。」
店員さんを呼び、みんなの分を頼んだ。零はとりあえず、温野菜サラダとステーキにしておいた。そして半ば合コンのような会話が幕を開けた。ちなみに席は、零と俺に対して五十嵐と有栖川。
「私、有栖川雪っていいます。第一高校の二年A組です。あと、この五十嵐達也の彼女してます。よろしくね!」
「どうも五十嵐達也です。同じく第一高校の二年A組です。」
そして俺はいらないというのを察して零が口を開く。
「第三北都市中学校3年の四宮零です。凌駕さんと付き合ってます。第一高校行けたらいいなって思ってます。」
「零ちゃんって言うんだ~、可愛すぎてヤバい。身長も高いし、羨ましすぎる。」
と身長159㎝の有栖川のいかにも女子的発言。
「そんなことないですよ~、有栖川さんも可愛いじゃないですか~。」
確かに有栖川も茶髪のロングヘアにアイドル顔で美少女というやつだ、まぁ、零の方が俺は良いんだけどね。
「雪でいいよ~」
「じゃあ、雪さんって呼んでいいですか?」
「うわぁ、なんか死ねるよ、嬉しいよ~これ、全然いいよ~」
仲良くなるって早いよね、主に女子の方は。蚊帳の外である俺と五十嵐はただ見ているのみだった。
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