104日目 決着

「ぐ……あぁ……!」


ガンッ!


「なんで、俺が、こんなにやられてんだぁ!」

「……? ……弱いから、じゃない?」


プリンセちゃんにやられて遂に長を操っている人が癇癪を起こしだしましたね。

みっともない。


「俺が、こんな、小娘ごときに……!」

「……なら、私にやられているあなたは、何なのかな……?」


プリンセちゃんの煽り性能が凄いです。

リブレさんから影響を受けているのでしょうが、あまりいい傾向とは言えませんね。



「だが、俺にはこの魔力がある! 長期戦になればなるほど……」

「……しゃべってる暇なんて、あるの?」


長は、水魔法が、得意らしいね。


ドサッ。


……させないけど。


「うあああぁぁぁ!」


魔法を出そうとしていた右腕を切り落とす。

やっぱり、リブレさんの言っていた通りに痛みはあるみたい。

だけど、おかしいね。

こんなに弱いの?

レインちゃんが気を付けてっていうくらいだから、もうちょっと強いかと思ってたんだけどなぁ。


「……つまらないなぁ」


続けて左足を切り落とす。

そこに一切の感情はない。

もちろん、戦いは好きだ。

しかし、それは命のやり取りではない。

機会があれば、リブレやレインとも戦ってみたいと思っているし、自分が強くなった暁にはキラにもリベンジしたいと考えている。

でも、力比べが好きなのであって、別に殺したいというわけではないのだ。


そもそも、殺すのが好きであったなら、リブレによってランガルに連行された際に無理を承知で暴れるくらいのことはしていただろう。

そう、プリンセは大人しいのだ。

、だが。

基本的に力業で解決してやろうという考え方が多いのだ。


「ねぇ、そろそろその人から抜けないの?」

「まだまだ……!」

「……ふぅん」


次は左腕。

根元からというわけではなく、関節からしたを落としているくらいだけだが、バランスはとれない。


「ぐっ……」


倒れ込み、プリンセが長を見下ろす形になる。



「プリンセちゃんは、流石ですね」


圧倒的です。

それでいて、油断して真上から見下ろすなんてこともしていません。

ある程度の距離を保っています。


「や、やめ……」


ズバッ。


私は、見知った顔ではあるが特に思い入れのない弱い人を倒すだけの簡単なお仕事です。

文字通り、死屍累々。

自分のお家の周りがこんな感じになるのは心苦しいですけど。


「レインちゃん」

「終わりましたか?」

「……うん、抜けたっぽいね」


「じゃあ、交代でお願いします」

「……りょーかーい」



「さて、長」

「あぁ……」

「自分のふがいなさを実感しているだろうと思いますが、もう時間はないですよ?」

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