104日目 予想
「ウィンド・ベール」
風の壁を広げ、戦闘範囲を絞ります。
壁と言うよりは、幕のようなものですが。
自分の中でこの範囲から出さなければいいという目安みたいなものなのでどうでもいいです。
「ウォーター・バインド」
リブレさんの魔法を真似した水の檻です。
大した拘束力はありませんが、問題ないです。
バリバリッ!
雷を通せば威力絶大ですから。
「かはっ……!」
このバインドを抜けられない人はそもそもこの場に立つ資格はないですね。
ズドンッ!
「な……!」
止めの土魔法で槍をぶちこんでおきます。
「なにもそこまで……」
「言ったでしょう。今回は本気です。むしろ、よくここまで襲いに来ておいて生きて帰れると思ってますよね?」
甘すぎます。
そんなだから
あれがその程度で止まる存在なら誰も苦労なんてしてません。
まぁ、いいですよ。
リブレさんを殺す気で来ておいて許しません。
「ひっ……」
今になって殺されるという実感が湧いてきたのか、ペタンと座り込んでいる人達もいますが、それだと抵抗できないだけですよ?
「……ふふっ」
一旦、退いてきたプリンセちゃんが機嫌良さそうに尻尾をふるりと振りながら笑います。
「なんですか?」
「……ううん? 容赦のないレインちゃんも、格好いいなって思って。……リブレさんも、惚れ直すこと間違いなしだね」
リブレさんは争いを好まないですから、私が相手に躊躇なくとどめを刺しているところなんて見られたら、幻滅されそうで怖いです。
「プリンセちゃんの方も、順調みたいだね」
「……うん、反応がないと、楽しくないからね」
宣言通り、深くはない傷を絶え間なく長につけ続けているプリンセちゃんですが、この戦い方にはわけがあります。
リブレさんが、この操っている人に対してある仮説を立てていたのです。
「人を操るなんて強い能力、何の制限もないわけがないよな?」
「それが相手に隙があるってことじゃないんですか?」
「いや、それは操り始めに対する制限だ。一度操ることが出来たらその後何のペナルティもないとか、考えづらいだろ」
「確かに……」
「そこでだ。俺があいつを見破った時、ほぼなんの抵抗もなくあいつはあの体から離れたよな? 気絶させるときのキラの一撃の反応から鑑みるに、ちゃんと痛覚も共有しているはずだ。痛覚以外はわかるとかいう鬼つよ能力ではない」
「とすると、あの時すぐに離れたのは操っていたおっさんに戦闘能力がなく、周りにキラとか王様とか強いやつが集結していたからだと考えられる。意味のない戦いを挑んで、痛い目に合うのはごめんだろうからな」
「なら、今度はこう考えてみよう。仮にそいつが強い体を手に入れたらどうするだろうな?」
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