ダブルの夢
「俺に敵対的な行動をとらない限り、解雇なんてするつもりないから。なんかミスとかしたら正直に言ってくれ。怒りはするかもしれないが、解雇まではしない」
どうにか3人を復活させるために言葉を続ける。
「で、どうだ? 折角の機会だから言っておきたいこととかないか?」
家具屋でなにをやっているんだ俺たちは。
そもそもなんで家具屋に鞭があるんだ。
特殊な性癖の人たちが多すぎるのか?
「では、ご主人様。1つよろしいでしょうか」
「おう、なんだ」
「昨晩、緊張のあまりお情けを頂きに伺うのを忘れておりました……」
「この流れで告白するほど重大なことじゃないよな!?」
往来でなんてことを口走ってやがる!
まぁ、出てくるのがその程度なら大したことはないのだろう。
「で、家具の方はどうなんだ」
「あ、それは選び終えたかと」
「それを早く言おうな?」
さっきの時間は何だったんだ?
「配送とかは?」
「はい?」
「あ、うん、了解」
自力で持ち帰るしかないわけか。
「そこは私に任せてよー」
「「「バンフリオン様!?」」」
「いつ出てくるかとは思ってたけど、ちょうどよかったな。手伝ってくれ」
こそこそと後ろの方からついてきていたリオンだが、ここに来て大手を振って出てくることができた。
力仕事なら適正すぎるからな。
運んでもらおう。
「いつからついてきていたので?」
「最初からだな。あれくらい途中では気付いてほしい」
「申し訳ございません」
しゅんとするメイドたちだが、尾行にくらいは気付いてほしいものだ。
特に、リオンは別に隠密的な能力があるわけではないからな。
言うなれば素人なわけだから。
「まぁ、気が緩んでいたというのはあるだろうけど」
「本当に申し訳ございません……。ご主人様とのお買い物が楽しすぎて……」
「んー……」
そう言われると怒れないなぁ……。
「それで、この辺りを運べばいいのかなー?」
「あぁ、頼むよ」
重い家具をひょいひょいと担いでいくリオンを見て店の人は目を丸くしている。
見た目は普通の、じゃない超絶美人の女の子だからな。
完全に物理法則を無視している。
さほど物理法則に縛られていないこの世界でもリオンは中々にぶっ飛んでいるという事か。
よし。
「リオン、お礼に何か一つ家具を選ばせてあげよう。自分の部屋に置くものを選んでくれ」
一応存在する客室だが、もはやリオン用なのでリオンが選んでもなんの問題もあるまい。
「え、いいのー?」
外の手押し車に色々積んできたリオンがスッと一直線に向かった先は。
「これがいいー!」
ベッドであった。
ダブルの。
「そちらですか……?」
「うんー! これでいつ襲われても安心だねー!」
「どんな状況を想定してるんだよ!」
もう約束しちゃったから買うけど!
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