家具とは
「本当にこの家で良かったのですか?」
「あぁ、最低限生活できればそれでいい」
結局アンリさんからはあれだけ旅の道中に贅沢しまくってそれでも余ったお金の50倍くらいの金額を貰った。
流石に現金というわけにもいかず、書面で貰うことになったのだが、俺が思っていたよりも桁数が小さくてびっくりした。
なんでも、通貨の単位が3つあるらしく、金貨の単位で言うとあまり大きな桁にはならないらしい。
円で統一されてる日本からみればおかしな感じだが、セント、ドルとかがあることを考えるとそうおかしなことでもないかもしれない。
どっちの方がややこしいかはわからないけどな。
むしろ、人数が少ないのに大きな家なんか持った日には攻められた時に守り切れない。
家を攻められるという前提がまず中々におかしいが、しょうがない。
しかし、小さいと言っても俺たち4人の部屋はそれぞれあるし、それにリビングもついている。
リオン用の客室もあるし、十分すぎるほどだと思うのだが、メイドたち的にはダメらしい。
「家事が減っちゃうではないですか」
「その分ゆっくりしようとかいう考えはないわけ?」
「ございません。お情けをいただけるなら考慮いたしますが……」
「よし、次は家具かな」
それぞれにベッドと、洋服棚、そして全体で食器棚とかは必要か?
「必要だと思うものを買っていってくれ。ただ、微妙なやつは一度相談しろ」
「かしこまりました」
生活力が皆無なので何が必要でそうでないのかがわからん。
結局丸投げだ。
俺は最低限生きていければいいと思ってるからな。
まぁ、メイドたちは俺の生活を充実させたいと思ってるだろうし、この指示は的確だろう。
「ご主人様、こちらはいかがでしょうか」
「……家具?」
「少なくとも、必要なものかと」
なんと3人がそろって持ってきたのは鞭であった。
俺は家具って言ったんだけどなぁ……。
「それは何において必要なんだ?」
「もちろん、ご主人様が私たちを叱る際でございます」
「そんなバイオレンスなことしねーよ!?」
どんな加虐趣味だよ。
「しかし、それですと私たちが下手をした時の罰がなくなってしまいます」
「お前らの頭の中には罰が鞭しかなかったのか!?」
さてはMだな?
約1名判明していたやつがいたけど。
「いや、罰と言ったらほら、解雇とかさ……」
そこまで言って俺は口をつぐむ。
3人の顔がもうこの世の終わりかのような、今ここがビルの屋上であれば飛び降りているような表情になったのだ。
「悪かった! 物のたとえだから! 別に今そうするとか言ってないから!」
「真でございますか……?」
もう衰弱しきっている。
ぱっと見で心配せざるを得ないほどに。
問題はここ一帯での俺の評判である。
超絶美人のメイド3人を衰弱させきっているフードの男が1人。
これだけで事案が過ぎる。
これからこの辺りで生きていくのになぁ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます