パジャマにはロマンがある
「うん、なんかおかしいなー」
俺たちが訪れて、街の宿に泊まることもしばしば。
領主の館にお世話になることもしばしばだったが、ここに来て新たな展開だ。
「流石にこれはまずいですって……」
「あら、いいのよー。あなたの同行は夫も認めているみたいだし? ということは部屋の1つや2つ、私物の5つや6つ持ってったって構わないわよー」
「その理論はどうかと思いますけど……」
アンリさんの私物を持って行っていいとはこれ如何に。
本人もまさかそんなことになっているとは思っていないだろう。
「しかし、アンリさんの寝室にしては少し手狭な印象を受けますけど……」
もちろん、通常の寝室なんかと比べてはならない。
ホテルのスイートなんかよりよっぽどでかい。
だが、レインの家の寝室と比べてそれほど大きいというわけではないのだ。
レインの家がおかしいということもあるが、世界の主の寝室であると考えると微妙ではないだろうか。
「あの人はめったにこっちには来ないからねー。そんな大きな部屋を取っていても仕方がないのよー」
うん、まぁ、それはそうなのだろう。
ここを治める領主である奥さんと、この世界を治め、各世界からやってくる死者を天国か地獄かへ送るという仕事があるアンリさん。
時間など、容易に作れたものではない。
今気づいたが、アンリさんの座、もしくはリオンの夫の座を狙っている奴らはそこまで考えているのだろうか。
仕事はリオンに任せて自分は好き放題しようという算段だろうか。
そこまで考えているかどうかも怪しいか。
「で、オーシリア」
「うむ、わしは気付かれた上で放置されておったのう。わしとしては看過できんのじゃが、敵視されていないという証明にもなるからの。どうとも言い切れんのじゃ」
オーシリアの存在、ひいてはその能力は俺の切り札だ。
爺さんの領主に助言を貰って以降、背中で大人しくしてもらうようにしているのだ。
本来であれば、俺の背中に人間がいるかどうかぐらい誰にでもわかりそうなものなのだが、オーシリアは人間ではない。
人型の杖だ。
よって、爺さん以降の3領主にはばれていなかったようなのだが。
「魔王の妻は伊達じゃないってことかな」
「リブレ、入るよー」
ガチャ。
ドアを開けてリオンが入ってくる。
「ぐはっ!」
「え!? ど、どうしたの、リブレ!」
俺が何にダメージをくらったのかは言うまでもない。
リオンのパジャマ姿にである。
ネグリジェはえっちくてえっちくて仕方がなかったが、パジャマは何というか、同級生の家に迷い込んだというか。
わかるかなぁー、これ!
とにかくえっちさとは違う青春感が強い。
本人は意識していなかったっぽいが、現役高校生なはずの俺からすればそれはポイントが高い……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます