母性の力
「久しぶりねー」
「ただいまー!」
その地域の領主が住んでいる街に着くとすぐ、リオンが屋敷へと向かった。
いつも通り約束を取り付けるのかと思ったのだが、門番の人や、守衛の人たちもリオンを見るとそのまま通してくれた。
で、俺たちは、というか俺はびくびくしながらついてきていたのだが。
ここにきてはっきりした。
リオンがスルーされている理由。
ここが、家だからである。
「もしかしなくても、リオンのお母さんだな……」
顔を合わせるやいなやリオンと抱き合った女性は瓜二つとまではいかずともどこか似通った部分があり、その暴力的なまでの胸の大きさもリオンに負けるとも劣らない。
抱き合った際に互いにつぶしあってむんにゅりしている図は中々に壮観である。
やり取りと雰囲気からお母さんだと判断したが、普通なら姉妹かなと思ってしまうほどの外見の若さだ。
この世界の人たちの年齢の推移がどうなっているのか把握できてないからわからないが、少なくともそれほど年は離れていないように見える。
「そちらはどなたなの?」
俺はリオンが紹介してくれるものだと思っていたので黙ったのだが、リオンがこちらをじっと見ているので察して自らフードを取る。
「自己紹介が遅れました。リブレと言います。一応、アンリさんからリオンの付き添いとして許可を得ている者です。後ろは順にアン、ドゥ、トロワ。俺の従者です」
簡潔に自己紹介を済ませ、様子を伺う。
今までならここで嫌みの10個や20個飛んでくるところだが……。
「そうなのねー。娘についてくるなんて疲れたでしょうー。ゆっくりして行ってねー」
ほわほわしていてなんの敵意もない。
こう見てると、リオンは大半は母親に似たのではないかと思えるな。
「ママ、あとで大切なお話があるからー」
「あらあら、何かしらねー。楽しみねー」
ゴロゴロと甘えるリオンは俺にくるのとはまた別な感じだ。
あまり会えてないんだろうなというのが伺える。
俺が考えていた母親はどうしているんだろう問題がここにきて一気に解決した。
アンリさんとは別の場所を治める領主だったわけだ。
基本的には領主と結婚するとなればそれなりに高い地位が求められる。
だから、母親が他の領主家の人間でもなんらおかしくはないんだけど。
まさか領主その人とは。
「ここにいる間は、自分のおうちだと思ってくつろいでねー。メイドちゃんたちも、他のことなんかに気を回さなくてもいいからねー」
俺をなでなでしたリオン母はそのままメイドたちもなでなでしていく。
俺はともかく、メイドたちもなされるがままというのは凄いな。
合った瞬間から感じていたことだが、母性が溢れすぎている。
こんなに若々しいのに。
これはイカンでしょうー。
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