仲間は増えていく
きっかり5日後。
「短い間でしたが、お世話になりました」
「いえいえ、こちらこそ。こんなところには客人も来ることはそうないですから。お話しできて楽しかったですよ」
しっかり仕事もしながら過ごした俺たちは次の領主の下へ出発することとなった。
「バンフリオン様。これからはより一層過酷なものとなるでしょうが、お体にお気をつけて」
「ありがとうー」
「そこで相談なのですが、うちのメイドから数名、お2人の旅に同行させてはもらえないでしょうか」
「いいよー」
軽っ!
「いや、待て待て。理由を教えてくれるか」
「主には2つですね。1つ目は、お二方の旅に補助が必要だと感じたことです。バンフリオン様は色々と規格外でいらっしゃるので、リブレ様との認識の齟齬があるでしょうから」
的を射すぎている。
ここに来る際に耐寒性において致命的な差が露呈したばかりだ。
「そのあたりの補助も、うちの者ならこなせると思いますよ」
「もう1つは?」
「本人たちが望んだからです」
「ほう?」
メイドさんたちが?
「私の屋敷は、基本的に人生の通過点と考えているんですよ。もちろん、ここでずっと働いてくれても構いませんが、訪れる人でついて行きたい人がいれば私に言うようにとしています」
「つまり、ここはメイド育成所?」
「そうとも言えるかもしれません」
俺の頭悪い返しにも苦笑1つで真摯に対応してくれる領主様。
どっちかと言えばツッコんで欲しかった。
ていうかこの環境だと俺がボケたらツッコミがいない。
レイン、助けてくれ。
「しかし、今回はついて行きたいと言う者があまりにもいすぎましてね。僭越ながらこちらで先に選別させていただきました」
用意のいいことで。
領主様が示すと、ドアから3人のメイドさんが入ってきた。
「アンとお呼びください」
「ドゥとお呼びください」
「トロワとお呼びください」
「なにゆえフランス語?」
この世界にフランス語なんざないだろうが。
「どうかこの娘たちを連れて行ってはくれませんか。お役に立つことは保証いたします」
「だってよ、リオン。どうする?」
この旅のメインはリオンだ。
「えー? でも、その人達はリブレについて行きたがってるんじゃないのー?」
俺も既にこの3人の{忠誠}が俺に向いていることは承知している。
しかし、人数を増やすのもどうかと思うし、リオンに判断をゆだねているわけだ。
っていうかなんだよ{忠誠}って!
重すぎるだろ!
「んー、いいんじゃないかなー? お世話してもらえるっていうのも魅力的だよねー」
「……ということらしいよ」
「それは良かった。くれぐれも、よく使ってやってください」
「まぁ、ほどほどにな……」
こうして俺たちの仲間にメイドが3人加わった。
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