メイドは奉仕してなんぼ
「じゃあ、行こうか」
「「「はい」」」
なんかもう俺に付き従ってる感が凄い。
俺なんかしたかなぁ……。
「次は、こっちの方向だからー。えっと、この道を行けばいいんだねー」
「そうなるな」
地図を頼りに次の領主の下へと向かう。
「ところで、ご主人様」
「ご主人様!?」
あまりのことに大声で聞き返してしまった。
男なら一度は思ったことがあるだろう。
美人のメイドさんに「ご主人様」と呼んでもらいたい、と。
こんな形で叶うとは思っていなかったが。
「なにか?」
「いや、なんでもないです……」
「敬語など使わないでください。私たちは、ご主人様のメイドですので。ご主人様がやれと言えばどんなことでも致しますし、脱げと言われれば脱ぎます」
「なぜその指示だけ限定的なんですかね!?」
そりゃそういうことを考えなくはなかったわけですが!
「ほ、本題は? なにか用があったんだろ?」
「そうでした」
気を取り直して、ドゥが本題を切り出す。
「見たところ、ご主人様は武器をお持ちでない様子。私は鍛冶の心得もございますので、ご主人様の武器などをご用意しようかと思ったのですが……」
「マジで!? 助かる!」
目下攻撃手段がゼロだったので非常に助かる。
思わずドゥに詰め寄り、目をのぞき込む。
顔を真っ赤にするドゥ。
んー?
「……大丈夫か?」
「……問題ございません。少々、ご主人様の魅力に当てられました」
「そんなことある!?」
見ればアンとトロワも羨ましそうに見てる。
なるほど。
悪い気はしない。
「鍛冶の話だったよな。なら、俺は小太刀がいいな」
「承知いたしました」
「武器が手に入るなら、次に着くまでに欲しい。どこかで休憩するときに数日そこに留まって作ってもらおう」
次の領主のとこまでに街をいくつか通るからそのどこかで作ってもらうことにしよう。
あれ?
「街に寄るんだったら、別にドゥに作ってもらわなくてもいいんじゃないか?」
「なにをおっしゃいますか!? 私は街の者よりよほど腕も良いと自負しております! なにより、ご主人様の武器を他の者が作るなど、まかり通りません!」
「そ、そうか……」
あまりの勢いに押しきられる。
奉仕欲が強いんだな。
いささか過剰なようだが。
2つ先の街まで移動し、鍛冶場の一角を借りてドゥが腕を振るう。
腕を振るうの意味が多少おかしい気もするが。
「ご主人様、私たちは邪魔になりますので、通りで休んでいたほうが良いかと」
「そうだな、他の職人さんたちもいるし」
俺たちは来た方向とは逆方向に下山した。
すると、山の中腹にも街があり、徒歩で移動しているのにも関わらず、2つ目の街まで来てしまった。
絶対に街の作る頻度がおかしい。
向こう側にも作れよ!
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