やるときはやるのです
「え、プリンセ。俺そんなに思いやりないかな?」
割とショックなんだが。
「……よくわかんないけど」
尻尾がふるりと揺れる。
「……リブレさんは、優しいよ?」
もう好き!
「プリンセはえらいなぁー」
「……ん、もっと」
なでりなでりしていると周りからの{羨望}の視線と今にも俺に飛び掛からんとするプリンセのお父さんの姿があった。
やばい。
ていうか今こんな全員の前でする話でもなかったわ。
「よって、決戦はあと1週間後。5日後には決戦場所に移動して、各個人の役割分担もやる。地形はこんな感じだ」
俺は立体的な地形図を前に出して、それぞれに紙で平面図を渡す。
「大体戦場はこの山の下らへんになると思う。予想進路も書いておいたから、それを塞ぎながらって形になるかな。これはこの集まりが終わった後も置いておくから、確認したい人は各自でお願い」
立体の地形図を示しながら言う。
ちなみにコピー機などはないのでこの紙はハンネの能力によりコピーしている。
大活躍である。
ちなみに大活躍のハンネには休息を与えている。
銃もこれでもかって言うほどコピーしてくれたし、この頃あまり寝てないらしい。
あ、それはいつもか。
まぁ、とにかく2日間休んでいいよって言っといた。
何するのか聞いたところ「寝る」の一言だった。
2日間何するのか聞いて寝ると帰ってくるのは中々だろう。
ゆっくりお休み……。
「さて、そういうわけだから、ひとまずこの辺りの面子の分担を決めようか」
そう言って毎度おなじみ謁見の間で円卓に座るのは、王様、マレイユさん、ルーリア、キラ、エルメ、ケイン、カイルさん、各族長、俺、レイン、そしてオーシリアとプリンセ。
基本的には各自に席が割り当てられているのだが、オーシリアは俺の背中に、プリンセは俺の膝の上にのっている。
よって空席が2つ。
なにゆえ。
「まぁ、わしはお主の所有物じゃし。席を用意してもらうほどのことはないからの」
「……ここが、おちつくから」
とのこと。
いやオーシリアはわかるけども。
「……プリンセよ、ここではだめなのか」
「……やだ、ここがいい」
「……」
お父さんの呼びかけにもこの態度。
俺に対するヘイトが凄い溜まってるんだが。
ヤバいよな、これ。
もう嫌って程買ってるんだけど。
「よし、ではランガルの方から決めようかの」
「了解した」
基本的には王様とカイルさんとの間で役割分担される。
「まず、マレイユとルーリアじゃが、この2人は後衛のような立ち回りになる。そもそも攻撃範囲と威力が広すぎるからの。初手で撃つのがいいじゃろう。わしは2人の護衛につく」
「キラ、ケインは自由に動いてもらって構わぬ。その方が戦果が出るじゃろう。苦戦している者を見つけたら援護してやってくれ」
「エルメは基本、一般の兵たちに指示を出してほしい。もちろん、自身も戦ってくれて構わんが、指示を出すものがおるとかなり違う」
「リブレとレインは参謀じゃからな。戦況を判断してわしに教えてくれ。わしが皆に伝える。じゃが、レインは重要な火力になるじゃろうから、攻撃も考えておいて欲しい」
「こんな感じでどうじゃ?」
「あぁ、妥当なところだろうな」
本当に王様だった……。
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