現代社会をなめるな

「おぉ、来ると思っておったぞ」

「うん、まぁ、こっち方面は俺担当だろ」


本来なら大臣とかでいいんだろうけど。

逃げてるし。

残ってるメンバー頭使えないし。

可能性がありそうなハンネはヤバイ薬物使いそうだし、キラは拷問一歩手前くらいまでは笑顔でやりそうだ。


「で、何か申し開きはある?」


山のように積み上げられた男たちの前に正座させられている商人たちのリーダーに聞いてみる。

今見ると、結構人数いたな。

軽く20人はいるぞ。

多数関与しすぎだろ。

下の方呼吸大丈夫か。

……まぁ、いいや。

ガチもんの犯罪者集団だし。


「いやー、俺としてもなんのことかわからんでなー」

「嘘だな」


残念ながら、そういうのは通じないんだわ。


「こっちとしてもさ、忙しいわけ。お前なんかに割いてる時間はできるだけ少ない方がいいっていうか、1秒も無駄なんだよ」

「なら、解放してくれても……」

「バカか。それなら最初から捕まえてないわ」


このやり取りも面倒だ。


「立案はお前か? 手錠は自分で用意したか? 関与しているのはこれで全部か? 事の後は連れて帰るつもりか、もしくは始末するつもりだったか? どこかからエルフが活動的になっている状況を聞いていたか?」


面倒になった俺は相手の返事も構わず、矢継ぎ早に質問を繰り出す。


「リブレさん……?」

「こちとら嘘を聞かない日はない環境で育ってるんだぞ。『はい』か『いいえ』で答えられる問いなら一瞬でどっちかまでわかるんだよ」

「どんな環境で育ってきたんですか……」


そっか。

一応、こっち生まれにしてるから俺、ヤバイ村の出身ということになったかもしれん。


「問題は、ほぼ『はい』側だったことだな。違ったのはこれで全部かという問い。ちなみに事後は連れて帰るつもりだったらしい」


さぁ、考えろ。

関与しているのがこれで全部かという問い。

実行犯に関してはたぶんこれで全部だろう。

いや、俺の偏見だが。

こんな犯罪に走る奴なんて欲の塊だから我先にとしたがるはずだろ。

つまり、あそこに全員いたんじゃないか?

他にいたら、それは知らん。


問題は、多分この問いには情報提供者も含まれているということだ。

エルフが活動的になっているというのは、割と上層部に出入りしている俺がキラから聞いて初めて知った。

訓練を受けている面々はそんなことを気にしている余裕はなかっただろう。


「王様、マレイユさん、ルーリア、ハンネ、ケイン、エルメ、キラはそこに並んでくれ」


怪訝な顔をみんなするが言うとおりに並んでくれる。


「自分が、こいつらに情報を流したという奴はいるか?」


ふぅ……。


「オッケー。いなかった」


一応の確認だったが、それでも仲間を疑うというのは嫌なもんだな。



だが、これでかなり候補は絞れたな。

うーん……。


「……わるい人、いない?」

「多分、ここにはもういないな」

「でも、それじゃあ誰が情報を流してたんです? そこは確定ですよね?」

「そうだな……」


またややこしいことになってんなぁ……。

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