誘拐の防衛方法なんて知るか

「……という訳なんだけど」

「そりゃあ大変じゃな。しかし、わかっておるんじゃろう?」

「あぁ。現段階では何も出来ないな」


もう俺的には果てしなく黒なのだが、かといって今から捕まえるという訳にもいかない。

なぜなら、彼らが結局何もしない可能性があるからだ。

カイルさんがその未来を予知したならまだしも、俺の場合は実行できる全てが揃っているだけで、結局実行に移せないかもしれないのだ。


更に言えば、カイルさんが予知していたとしても、「あなたは今から誘拐するので、する前に捕まえます」とは出来ないだろう。

シンプルに無茶苦茶だ。

そもそも、日本と違ってここでは剣を持っているなんざ当たり前だからな。

治安が良すぎるまであるのだ。

それは普段の衛兵さんたちの努力の賜物だろうが、いなくなればなんてことはないって話だな。


「俺が見てみようか?」

「いや、カイルさん。そんなことに能力使ってられないぞ。まぁ、気を付けておいてくれってことだ」


一応、囮のことは黙っておこう。

いや、別にわざわざ囮に出す訳じゃないから囮捜査とは言えないか?


偶々、確証がないから放っておいた結果。

残念ながら、誘拐の被害者が出てしまい。

偶々、異変に感づいていた俺たちが。

華麗に救って差し上げると。

よし、これでいこう。


謁見の間を後にしながら、適当な予定を立てる。

いや、まぁ予定とも言えないようなもんだけど。


「リブレさん、僕は納得してませんよ?」

「いや、俺だってそりゃ未然に防げるなら防ぎたいけどさ。俺にはそんなノウハウはないんだよ」


一般人が誘拐から他人を未然に防ぐ方法なんざ知っててたまるか。

そりゃ俺の能力で1日位守ってれば安全なんだろうけど。

そもそもエルフは友好的じゃないし、俺に関しては嫌われてるきらいが強いからな。

守るとか言っても、信用されるわけがない。


よって、俺に思い付く防衛方法は却下だ。

無理。



「……もう、つかまえちゃえば……?」

「いや、それはダメだろ……」


プリンセはもはや考えるのが面倒になったようで、放棄している。


「……つかまえてたら、だれも連れ去られないよ……?」

「いや、正解だよ? 正解なんだけどさ」


やれないんだよなぁ。


「まぁ、実行は明日だろうからな。今日のところは帰ってゆっくりするとしようや」


慣れてきたとはいえ、戦闘訓練をした後だ。

運動した後はゆっくり休むに限る。

特にこの世界なら、寝ることはMP回復にも直結するんだ。

あまり消費してないから、回復しなくてもなんとかなるのだろうが、ストックはあって困ることはない。

むしろ、あればあるほどいい。


ここまで考えて思ったが、そもそもプリンセはあまり魔法を使わない。

で、レインはMPリジェネがあるからそこに関しては問題ない。

オーシリアは俺のMP使って魔法使ってるからなんの問題もない。

1番寝てるまであるけど。


あ、もしかしなくても寝てMP回復しないといけないの俺だけか。

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