少年襲来

「はい、お帰り下さーい」


少年を押し返して、オーシリアに視線を送る。

それによってドアとか壁が固定され、入ってこれなくなる。


「開けてくださいよー!」


俺たちは無視して食事を続ける。


「入れてー!」


ドンドンドンドン!


「うん、さすがプリンセ。冷めててもおいしいな」

「……ありがとう」


プリンセの機嫌も直ったようで良かった。


「開けてよー!」


ドンドンドンドン!


「それで、今日はどうするんですか?」

「そうだなぁ。別になにもする必要はないし、昨日は頑張ったからな」

「……そうだよね。……今日はお休みでいいんじゃないかな?」

「だな。日がな一日寝て過ごすでいいか」

「たまにはいいかもですね。リブレさんこの前かなり寝てましたけど」

「あれは病気のせいだから!」

「開けてくださいー!」


ドンドンドンドン!



「さ、さすがに可哀想ではないかの?」

「甘いなオーシリア。ここで隙をみせるわけにはいかないんだ」


命が懸かっている場面以外では珍しい真剣な顔をする俺にオーシリアがちょっと引く。


「おぉ、なんか口調変わっとるし。そんなものなのかの」

「開けてー」

「そういうもんなんだ」


というかかなり根性持ちだな。

これで諦めないのか。


「流石にうるさいですね」

「……うん。……うるさいね」


ヘイト買ってるぞ。

気付いた方がいいぞ。

無理だろうけど。



「おーい!」


ダンッ!


「……」


大きな音が1回したあとに辺りが静かになった。

なにがあった。


「入れてくれないかい?」

「キラ?」


キラの声が聞こえたのでオーシリアにステッド・ファストを解除してもらい、中に入れる。

おまけに気絶した少年も入ってしまった。


「さっきの音は?」

「え? 僕が彼をやった音だけど?」

「いや、それはわかってるけどさ。どうやって?」

「どうやってって、こう。全身の力を相手に伝えるイメージで?」

「適当かよ」


説明を聞く限りは中国拳法の発頸に似てるな。

適当にそうやって出来るっていうのは才能なんだろうな。

キラが鍛えてある体っていうスペックがあってこそだろうが。

天才も体が追い付かなかったら意味ないからな。

才能と努力が合わさってこそ天才というのはその真価を発揮するからな。


「で、なんでこいつは特攻仕掛けてきたんだ?」

「リブレ君とレイン君の話を城で耳にしちゃってね。居てもたってもいられずってことらしいよ。僕は止めたんだけどね。『やってみなくちゃわからないじゃないですか! この間にもレインちゃんがどんないやらしいことをされるか……』って言ってね」

「うん、ませてんな」


流石に16と12は犯罪だろ。

どこまでを考えてたのか知らないけども。


「で、もう1個質問なんだが。お前ならそのタイミングで止めれただろ?」

「どうなるのか見たくて放っておいちゃった」

「お前大概にしろよ」


どんな好奇心だよ。


「で、横から見てたんだけどね。流石に可哀想になって止めたんだよ」

「もうちょっと早く止めて欲しかったな」


騒音被害凄かったから。


「僕もあそこまで締め出されるとは思ってなかったんだよ」

「男には非情にならないといけない時があるのだよ」

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