あと5分だけは大抵嘘です

「…こら!起きろー!起きるのじゃー!!」

「…うーん…。あと5分…」

「わかったぞ!」


5分後。

「5分たったぞ!」

「わかったから耳元で叫ぶな…。あと5分だ…」

「むー、了解だ」


さらに5分後。

「起きろー!」

「うぅ、うるさい…。もう5分だけ…」

「本当じゃな?」

あ、これ無限にいけるわ。


さすがに申し訳なくなってきて体を起こす。

「おぉ、起きたのか!まだ5分たってないぞ?」

「いや、もう大丈夫だ」

罪悪感がすごい。

「ちなみに俺何時間くらい寝てた?」

「5時間ほどではないのか?」

「短いな!?」

ほんとにもうちょっと寝かせてくれて良かったくね?


5時間というのはオーシリアが計っていたから正確だろうとのこと。日時はわからないが時間の計測は出来るらしい。

本人曰く、

「数えていれば良いのじゃから簡単じゃろう?」

とのこと。生物ではないのでそういう無茶がきくらしい。睡眠もいらないみたいだし。

俺を起こしたのは暇に耐えられなかったからだと。

温厚な俺もさすがにキレたね。

俺の大切な睡眠時間を削りやがって。


もう一度寝なおしてやろうかと思ったが、オーシリアは縋り付いてくるし、一度起きてしまったらもう一度寝入るのは難しい。

諦めて本日の予定を決める。

「まぁ、とりあえずは偵察かな」

今度は骸骨に何も仕掛けなかった場合どこまで近づけるのかを試してみよう。



「おわあぁぁーー!?」

ダッシュで部屋から出てくる2人。実際には1人と1本(?)なわけだが。

結論から言えばかなり近くまで近づけることがわかった。さらにすぐに攻撃してくることもない。

近づいたらいきなり動き出してこちらをびっくりさせるというギミックが仕込まれていたようで、その動きは穏やかだった。穏やかという表現が正しいのかわからんが。


「やっぱ遠くから一発入れるとかいうのは正規ルートじゃなかったんだな」

「そりゃそうじゃろうよ。ああやって驚かせたいんじゃろうから」

俺たちは2回目だし、覚悟していたこともあってあまり驚きはしなかった。

いつまで大丈夫かなとその場に留まっていたら囲まれかけて焦って出てきたというだけで。


「しかし、今回も出てきた量はあんまり多くなかったな」

「そうじゃな。突破不可能というわけじゃなさそうじゃ」

もしそうだったらその時点で俺が詰みなわけだが。

「あとはあいつらが無限湧きかどうかだな」

無限湧きなら周りをいくら倒しても意味がないってことになる。無理にでも突破してボスとの一対一を迅速に行わなければならない。


もしくはあいつらの召喚に限界があるか。この場合は限界がくるまでボスから逃げながら削っていくのが理想だな。限界がとんでもない場合を除き。

あと考えられるのは…、グループ単位の召喚か。この時は恐らく一体だけ残していれば再召喚はできないだろう。


さて、次の突入はそこらへんの把握をして帰ってくるのを目標にしよう。

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