相性が合わないものは存在します

「えーと、まずは俺が杖を持っとかなきゃいけないって状況はなくなったってわけだ」

俺が魔法を使ってるっていう状態をキープしなくていいってことはあの小太刀を常に持っといても大丈夫ってことだ。指示さえ出しとけば。

そう考えながら俺は腰に差していた小太刀を抜く。

「む、それはこの世界のものではないな」

アシスト・ロッドの化身さんが後ずさりながらそう言う。

やっぱ名前めんどくさいな。


「よし、決めた。お前の名前はオーシリアにする」

どっかの言葉で「補助」って意味があった気がする。覚えてないからちょっと違うかもだけど。

ちなみに名前は女の子よりなイメージで考えてみた。これには俺の願望が入っているがご容赦願いたい。

だって冒険についてきてくれるなら男の子より女の子の方がいいだろ?


「ちょっと投げやりな感じもするが…。うむ!気に入ったぞ!今からわしはオーシリアじゃ!」

なんか気に入ってもらったっぽい。

「その名前にするにあたって女の子でいろよ」

「うむ!了解したのじゃ!」

どさくさに紛れて女の子でいる約束も取り付けた。両性持ってるらしいから素直に喜べないところではあるが。


「で、オーシリア。なんで小太刀こいつが他の世界のものだとわかったんだ?」

「そりゃあのぅ。わしはこの世界の初期から存在する武器じゃぞ。他の武器のことは大抵知っておる。そのわしが知らないってだけで相当ではないか?」

確かに。

「そもそもわしはお主がそやつを発見するところを見ているからの」

「ほんとじゃん」

見てたならわかるの当たり前だわ。


「それにの、そやつはこの世界の手法で作られていないじゃろ?」

「そうなのか?」

そういや西洋の剣と日本刀って作り方がだいぶ違うらしいからな。

「で、逃げた理由は?」

「そやつは魔法を斬るじゃろう?わしからすれば天敵のようなものじゃ」

確かに。他の皆が持ってる武器と違ってオーシリアは魔法特化だからな。行動を制限されるってことか。


「敵じゃないんだしそんなに警戒するなって」

「そうは言われてものぅ。生理的に無理なものは無理じゃ!」

更にじりじりと下がっていくオーシリア。

うーん。溝は深いようだ。

「おーい、戻ってこーい」


小太刀を鞘に納め、オーシリアが近くまで戻ってきたので作戦立案を再開する。

再開って言っても何も進んでいないが。

「まず、あの骸骨は召喚系の魔法だろうな」

ゴーストが一気に出てきたことからねずみの数段上の能力であることがわかる。出てきたときには攻撃準備が終わった状態だったしな。

「それに本体も中々に強いだろう」

鉄の鎖を引きちぎる骸骨とかどうなってんだって話だが。

何かを召喚する奴は本体が弱いっていうお決まりがあるけど今回は例外らしい。


「問題はどんな量を出してこられるかだよなぁ…」

まさか出てくるのがたったあれだけのゴーストではないだろう。どれだけの量がいるのかによって骸骨に辿り着く難易度が大きく変わる。

ま、その調査は明日以降でいいや。

俺は生きているうちにと横になると一瞬で眠りに落ちるのだった。

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