名前は慎重につけましょう

参ったな…。俺は自分のネーミングセンスに全く自信がない。

今までやってきたゲームではすべてリブレで通してきたし、他の人物を名付けしなければならないときは他の月をもじったものを使っていた。

しかし、そういうわけにもいかないだろう。


そもそも、ネーミングセンスに自信があったらあの小太刀にささっと名前つけてるだろうし。

変な名前つけて後悔したくはないのでとりあえず保留にしているのだ。

そういうわけでアイテム名は「小太刀」になっている。


ま、いいや、そんなことは。

「今、わしの名前のことで『そんなことはいいや』とか思わんかったか?」

鋭い!

「そりゃわしはお主の所有物じゃぞ。持ち主の考えくらいわからんでどうする」

うーん、その理屈はちょっとわかんない。


「まぁ、よいじゃろう。変な名前をつけられてもなんじゃしの。で、先程の話じゃったかの?」

そうだった。

「あぁ、ボス部屋で何があったのか教えてくれ」


「ふむ。まぁ、まずはお主が足を踏み入れ、ダンジョン主を視認したじゃろ?そこまでは警戒心を持ってたのじゃが、あの骸骨に仕掛けたところで集中が途切れたのぅ。周りへの警戒が疎かになっておった。精進するんじゃぞ」

「はい…」

あれは俺の全面的なミスだからな。


「そして骸骨がゴーストを召喚し、ブレスをしようとしたときお主は反応できていなかったじゃろう?わしとしてもお主が殺されるのは好まん。なにしろわしを長く使ってくれた唯一の人物なのじゃからな」

半ば無理やりではあったけどな。

「そこでわしはいつ出ようかと機を伺っていたのを急遽変更し、ステッド・ファストを発動したのじゃ」

「機なんか伺ってないですぐ出て来いよ!」

こいつが出てきてたらもっと楽に攻略できてたんじゃね?


「で、あんたは結局これからどうなるんだ?」

「む?わしとしてはこのままお主について行くのが良いと思うぞ?なにしろわしはお主とは独立して魔法を使えるからの。MPはお主のを利用することになるが」

ほー。俺がステッド・ファストが発動されてたのに動けた理由はそれか。杖が勝手に発動してるんだから俺は縛られないと。

となると代わりに杖が固まったりするのか?

「それはないぞ。わしは補助呪文、無系統呪文専用の杖じゃぞ。そんな効果に縛られはせんわ」


「なら、これからは俺が指示出さなくても勝手に俺の意図を汲んで魔法出してくれるのか?」

さっき考えがわかるみたいなこと言ってたし。

「い、いや、それはじゃのぅ…」

え。できないの?

「さっき出来るみたいなこと言ってただろ?」

「あれは言葉の綾というものじゃ!お主の考えは指示を出されているわしでも理解できんものが多いのじゃ!決してわしのせいではない!!」

絵にかいたような逆ギレ。


「わかった、わかった。要するに俺の考えが必要ない保身に必要な魔法は出せるってことだな?」

身を守る方法なんて限られてるからな。

「そ、そうじゃ。わしも役に立つじゃろう?」

「そうだな。これからも頼むぞ」

頭を撫でてやると、「ふふん、わかればよいのじゃ」とか言いながら満足そうだ。こいつちょろいぞ。


となると、あの骸骨をどうにかする方法にも選択肢が増えるんじゃないか?

折角死にかけてまで手に入れた情報だ。有効に使わなきゃな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る