10歳の家に泊めてもらうのは犯罪じゃなかろうか
「で、その"ユラル・ラビット"ってのはどこにいるんだ?」
「えーと、リンガルの町を中心に道が3本伸びているのは知ってますよね?」
「?あぁ、もちろん」
ここリンガルっていうのか。そっから初耳だがそういうことにしとこう。
「そのうちの1本がこの草原に伸びているわけなんですけど、残りの2本のうち1本は森林に続いているんです。その森に生息しているらしいですね」
へー。そういう作りになってたのかここ。
「でも、今日はもう夕方ですし、夜になったら現段階ではエネミーが圧倒的有利です。今から森に向かうのはやめたほうがいいですね」
「そうだな。折角無傷なのに無理して怪我したら元も子もないからな。今日のところは町に戻るとするか」
町に戻ったはいいが、ここである重大な事実に気づいた。
「なあ、レイン」
「はい、なんでしょう」
「そういえばだけど、この町に宿屋ってあるのか?見た覚えがないんだが」
「宿屋って人を泊めてくれるところってことですか?」
あ、ないのが確定した。
「基本的にほかのところから来た人は自分の拠点を持つものなんでないですね」
ってことは野宿か。金が足りるはずもないしな。
「?何を心配してるんですか?」
「いや、今の俺の経済力で家なんざとてもじゃないが買えない。となると野宿しかないかなと」
「なんでですか?うちに泊まればいいじゃないですか。もともと3人暮らしだったから部屋ならいっぱい空いてますよ?」
あぁ、そうか。その手があったか。
……。ちょっと待て。
いやそれやばいだろ!会って1日もたってない16歳の男が10歳の美少女の家に泊めてもらうって!
確実に警察案件からの問答無用で有罪じゃねーか!
「いやいや。それはだめだろ」
「なんでですか?」
「いや、だってさ、一応俺も男なわけだし……」
そこまで言った途端、キョトンとしていたレインの顔が真っ赤になった。
「そ、そうですね。普通は絶対だめな感じですよね」
地味にじりじりと離れていってる。そんな警戒せんでもいいのに……。
「で、でもリブレさんはそんなことしそうじゃないですし……」
天国のごりょうしーん。もうちょっとこどもさんの警戒心を高めていたほうがよかったですよー。ほんとに。俺じゃなかったら知らなかったぞ。
「それに、一人でいるにはあの家は広すぎるんですよ……」
そっか、今は他のエルフ達からも相手にされていないと言っていたな。かなり寂しかったのだろう。
……。よし。
「わかった。お言葉に甘えることにしよう」
「本当ですか!」
レインの顔が輝く。
くそっ、可愛いなこいつ。俺の理性が試される。あ、ニートの俺にそんな度胸ねーわ。あったらちゃんと学校行ってるだろ。
「あぁ。1部屋貸してくれ。できればそのままレインの家を俺らの拠点としたい」
「大歓迎です!そうと決まったらすぐに向かいましょう!」
めちゃくちゃ元気になったな。さっきの話は忘れたのか?ごりょうしーん、以下略。
「他のやつらから相手にされてないって言ってたが、俺がレインの家に行ったらまた話がややこしくならないか?」
「大丈夫です。私の家はみんなの家から外れたところにあるので」
町の中心から歩くことおよそ10分。
「着きました!ここが私の家です!」
近づいてる時からうすうす思っちゃいたが、まさか、ここまでとは…!
「でけぇぇぇぇぇぇ!!!」
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