地形は活かしてこそ地の利となる

「絶対無理ですよ!無理無理無理無理!!何考えてるんですか、死にたいんですか?!」


よく噛まないなーと思うほどの早口でレインがまくしたてる。


「ただでさえレベル低いんですよ?!リブレさんに至ってはレベル1カスですよ?!どうにもなりませんって!!」



言い方に問題あるだろ!少しは気ぃつかえよ!

まぁとりあえず涙は引いたようだ。


「これがどうにかなるんだよなー。……多分」

「多分じゃダメじゃないですかー!」

「まぁまぁ。ところでレインはどんな属性の魔法が使えるんだ?」

「え?えーと、まだレベル4なので個人の得意な属性がはっきりしてないんですよ。つまり、火・水・風・土・雷・光・闇の全てのランク1の魔法が使えます。ただ詠唱時間長すぎて、実戦では全く使い物にならないですよ?」

「だいたい何秒かかるんだ?」

「んーと、平均で8秒くらいだと思いますけど、8秒もあれば5回は殺されますね」


それは確かに。



とりあえずそれぞれの魔法の効果とクールタイムを頭に叩き込み、シミュレーションしてみたが…


「よし、いけるな」

「えぇ!!」

「レイン、作戦自体は簡単だ。やるぞ」


そう言って作戦を伝えると、


「確かにそれだけならできそうですが……。よくそんなこと気づきましたね。少しでも失敗したら逃げますからね!」


おぉ、条件付きだがゴーサインがでた。さて、初陣だ。



まずはフィールドに出て草原の中でを探す。


「あ!ありましたよ!」

「よし、ここに誘い込むぞ。レイン!」

「はい!」


まずレインの魔法の中で最も射程の長い風魔法でエネミーを引っ張ってくるプルする。射程ギリギリから狙ったのでポイントにエネミーがつくまでに約8秒。その間レインは水魔法を準備。ポイントにエネミーがついた瞬間発動。


「ほんとにこれでいいんですか?」

「あぁ。この草原はもとから草原だったわけじゃなく、湿地が変わったようだったからな。湿地が乾いて草原になったところはたいてい……」



ボゴンッ!


「地中に穴が残っている。そこに水を送り込めば、天然の落とし穴の完成だ」


だが、これでは倒せない。レインの雷魔法が間に合うまで時間を稼がなくてはならない。



頼むぞ、アシスト・ロッド。


「リヴィ・バインド」


移動阻害魔法"リヴィ・バインド"ただツタが絡みつくだけの持続性はほぼないものだが、少し稼げれば十分だ。


「お待たせしました!ミニマム・ボルト!」


あ、ご丁寧にもミニマム最小ってついてるのか。



まぁ水の中にいる獣系のエネミーにはこれで十分だ。



ガガッ、パリンッ。

ポリゴンが破砕し、リザルト画面が目の前に表示される。


「やった!やりましたよ!」


レインが大はしゃぎで駆け寄ってくる。


「正直リブレさんの作戦絶対無理だと思ってましたけど、いけるものなんですね!」


無理だと思ってたのかよ。



「このままやっていったらレベル10くらいにはすぐにいきそうですね!」

「なんでそう思うんだ?」

「え?だって僕今のでレベルあがりましたよ?僕が上がったってことはリブレさんも上がりましたよね?」


悪い予感がする……。


「いや、上がってないな」

「ステータスで確認してみてくださいよ。次のレベルに上がるまでに必要な経験値がでますから」



「えーと。あと831ってなってるな」

「え」


はしゃいでいたレインがかたまる。


「おい、どうした」

「僕が今レベル5になりましたけど、次にレベルがあがるまであと452なんですよ」

「……つまり?」

「レベル1なのに僕がレベル2つ上げるくらいでやっとリブレさんが1つあがるってことですね」



なるほど。ただでさえ弱いのにレベルも上がんないと。そういうことか。



……。




「ふざけんなぁぁぁぁぁーーー!!!」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る