第13話

 店舗のシャッターを下ろして、店を閉めようとしていた彰夫の携帯が鳴った。

 知らない番号が表示されている。


「もしもし…」

「ああ、彰夫?わたしよ。テルミ」


 えっ、あの酔っぱらい女。彰夫はあの女がなんで自分の携帯番号を知っているのかと愕然とした。警戒して黙っている彰夫に構わず、テルミは言葉を続けた。


「あたしさ、藤沢のゼロ・ガールっていうキャバクラで働いてんだけど、今夜来て指名してくんない」

「なんで…」

「今月ポイント稼げなくてさ。協力してよ」

「だから、なんで俺が…」

「いい、閉店1時間前ごろに必ず来るのよ。来なかったら、隣の女のところに乗り込むから。じゃあね」


 彰夫の返事も聞かずテルミは一方的に電話を切った。彰夫は呆然として携帯を見つめた。

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