491 変わらないもの

 ごちっ!


「あべば!」


 なに、なんなの?


 頭に何かぶつかってきたんですけど!

 別に痛くないからいいんだけど!


 人が悲しい気持ちで沈んでるのに、どこの誰が私に何をしたのか!


「こら、ルーちゃん!」

「ふえあっ!?」


 あれ、なんで!?

 なんでナータが私の背中に乗ってるの!?

 っていうか、私いま飛んでるんだけど!

 翅は燃えてるから危ないんだけど!


「ど、どうやって飛んできたの?」

「細かいことはいいから。とりあえず下りなさい」


 ちっとも細かくないと思うんだよぅ。


 とりあえず、言われた通りゆっくりと降下する。

 地面に下りると、ナータは私の手を握った。

 そして、しっかりと目を見て言う。


「あたしは詳しい事情はよく知らないし、ルーちゃんが自分で選んだ道ならもう止めない」

「う、うん……え、なにが?」

「けど、これだけは覚えてなさい」

「はい」

「嫌になったらね、いつでも帰ってきていいのよ」


 あ……


「心配することない。人とちょっと違うから、それがなんだっていうのよ。ルーちゃんを傷つけるやつはあたしがぶっとばしてやる。だからさ、辛くなったら、安心してあたしの所に戻ってきなさい」

「ナータ……」


 変わらない。

 ナータだけはちっとも変わらない。

 私の大切な、一番の親友。


「うん」


 頬が熱い。

 涙が零れていた。


 帰りを待ってくれる人がいる。

 それなら私はいくらでも頑張れる。


 だから、私は私にできることをしよう。

 この力が世界のため、みんなのために必要なら。

 私が頑張ることで、彼女の笑顔を守ることができるなら。


「ありがとう、ナータ」


 涙を拭って顔を上げる。

 ナータもうっすらと涙の雫を浮かべていた。

 だけど、笑っていた。


「どういたしまして」


 私の最高のともだち。

 ナータの笑顔は、とても綺麗で……

 またみんなで笑い合えるよう、この世界の平和を絶対に守ろうって、私は心に強く誓った。

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