7.5章D 二人の絆 編 - my best friend -

490 ◆三度目のサヨナラは

「ルーちゃん、待って!」


 あたしが叫ぶよりも早く、ルーちゃんは炎の翅を拡げて飛び立っていってしまった。

 遠ざかっていく親友の姿を眺めながら、あたしは自分の愚かさを悔やんだ。


 あのルーちゃんが、輝術を使って怖ろしい化け物を一瞬で倒してしまった。

 そんなことに驚いて思わず疑いの言葉を口にしてしまった。

 きっとそれは彼女の心を深く傷つけた。


「ルーちゃん……」


 違くなんかない。

 違うわけなんかない。

 どんな風になっても関係ない。

 彼女が友だちだってことに変わりは無いのに。


 それなのに、また失ってしまう。

 大切な人が目の前から消えてしまう。


 それを、あたしは黙って――


「待ちなさいって言ってるでしょうがっ!」


 見てるわけないし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る