深夜に電車が走っている。
夜中の一時を過ぎると無料開放されるという。
そこにクラスメイト同士の少女が二人、乗車している。
別に仲良くはない。ただ乗り合わせただけの二人。
一人は夜を愛し、一人でいる方がすきな少女。
もう一人は昼のように明るく、ここには似つかわしくない少女。
夏休みの間、いつしかそんな時間を共有して
最後の晩に、二人は思い切ったことをする。
次の日には日常に戻る、その前の晩。
果たして二人は何を見ていたのだろう。
情緒的な描写で、夜を表現した珠玉の一編。
いつしかこちらも深夜の電車の窓越しに光を見たような気がした。
それは、揺れて、何処か落ち着かないのだった。