俺の姫様 バハル船長目線
うちの姫様がラオファン国の船に乗っていたのを回収した次の日。
街を女と歩いていると
振り返れば俺の肩を摑み、
後ろに姫様の兄貴のローランドの
「わりーな。仕事の話しねぇーとだから先に宿に行っててくれ」
「早く来てねバハル」
「ああ」
女が先に行くのを見送って俺は三人に
「なんだ? 俺になんか用か?」
「貴様! ユリアス
「ああ、なんだ。そんなことか」
俺がもう一度ため息をつくと、ローランドの旦那に
「バハル、お前ユリアスにプロポーズしたのか?」
「
「
俺はニシシっと笑って言った。
「だろうな。けどよ、姫様がいいって言うなら俺は姫様を
「貴様! 他の女とイチャイチャしておきながら、何を言っている!」
隣国の王子ウゼー。
俺はゆっくりと隣国の王子に言った。
「王子だからって調子にのってんじゃねぇぞ。俺らはあんたらなんか
「なんだと!」
俺は旦那に笑いかけた。
「そろそろ行っていいか? 女待たせてんだ」
「まあ、そう言うな。船はしばらく出ないんだ。午後からでも
「悪いな。午後からは姫様とデートだ」
「「「!」」」
旦那と隣国の王子の顔が見る見る
「貴様! そこになおれ!
「王子だからって調子にのってんじゃねぇって言っただろ? こちとら貴族のボンボンに負けるほど
俺が隣国の王子に応戦しようとしたのを止めたのは姫様だった。
「バハル船長! ジュフア様に何をするつもりなの?」
「姫様!?」
「ちっ………悪かったよ」
「国の大切な方なのよ!
「……ああ」
姫様の細い手に
「バハル船長に聞きたいことがあって来たの。子ども達の人数なんだけど」
「今は十八人だな」
「そう」
俺は
育ててもらった
だが、施設育ちにいい仕事が
それもあって俺達は
人を殺せば、また孤児が増える。
だから殺しはやらない。
それが俺達のルールだった。
けど、一人の仲間がミスって俺達の半分が
海賊は無条件で
捕まった俺らは他のやつらが無事ならいいかって思って覚悟した。
そして自分達は死ぬのだっと思ったその
姫様は冷たい
『
逆らったら
その時、そこにいた全員がそう思った。
俺達が
『彼らはうちの従業員だわ。
姫様の言葉に俺達は救われた。
そして、俺達は姫様のために本当の従業員になった。
しかも、姫様は養護施設まで
『子どもの時から、うちの従業員になる英才教育ができるんだから安いものだわ』
姫様の言葉に俺は笑ってしまったっけ。
そんなこんなで、俺は姫様には誰よりも幸せになってほしいって思っていたんだ。
それなのに、
だったら俺の手で幸せにしたいって思って何が悪いんだ。
「私はまだ買い物があるけどバハル船長はどうする? 午後からの約束だったけれど、今からでも買い物に付き合う?」
「あ、あぁ、ちょっとまだ人と会う約束をしてるんだが断ってくるから待っててくれよ」
俺が視線をそらすと、姫様はニコニコしながら言った。
「先約があるならいいの。待たせたら失礼だわ。でも、一つ言わせてもらえるなら女物の
「………
「はいはい、喧嘩しちゃダメよ」
姫様は俺だけを
「姫様の方が理解がある」
思わず
「ユリアスのためってことか」
ああ、こいつも理解がある。
「
この三カ月は
「バハル。
「止めたのはあんたらだろ?」
旦那が
くれるんなら
「ユリアスに手を出すなよ」
「旦那、それは無理な相談だな。姫様が俺でいいって言ってくれんだったら、もう一度海賊に
王子二人が目を見開いたのが見えたが俺はそのまま宿屋に向かって歩き出したのだった。
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