第二巻
隣国の王子と姫
私、ユリアス・ノッガーはこの
今まで領地復旧の手伝いやら資金
そんなこんなで、元婚約者のラモール様は侯爵の位を持ちながら、家も領地も
元々農業的な才能があったのか、ラモール様は品種改良などで力を発揮しているらしい。
バナッシュさんはというと、そんなラモール様を支えるためにどんなに
そんなバナッシュさんのことを私は
結果的に、婚約破棄
はずだったのだが……なぜこうなったのでしょう?
学園の長期
え? なぜこのテーブルに?
私は
「ユリアスちゃん! よく来たわね!
王妃様は気の置けない友人を呼ぶように私を手招きした。
王妃様のフレンドリーさに負けました。
「王妃様、こちらの方は?」
そう声をかけてきたのは、
下の姫様であるムーラン様は赤紫の長い
「こちらはユリアスちゃんですの」
王妃様のアバウトな説明に私は
「自己紹介が
私が自己紹介を終えて頭を上げると、ランフア様に睨まれた。
「王妃様、なぜ伯爵なんて身分の者をこのテーブルに招くんですの?」
もっともな言い分だと思います。
私だって他のテーブルに行ってお
ビジネスチャンスだというのになぜこのテーブルに?
「ユリアスちゃんにはいろいろな人と仲良くなってほしいからよ」
なんだろ? この意に反して外堀を埋められていく感じ。
でも、二人の隣国の姫様達が身にまとっているドレスやアクセサリーについている、キラキラの
勉強するつもりで二人を観察することにしましょう。
「ユリアスちゃん、後でルドニークも来るから待っててね」
そんな私の思考などおかまいなしに王妃様がからかうように続けた言葉は、私の首を
ランフア様に
王妃様何言っちゃってくれてるんでしょうか?
私、王子
「な、なぜルドニーク様が来ることをこの方に言うんですの?」
「ユリアスちゃんはルドニークの
王妃様の言葉に、ランフア様の顔色が
私は首を横に振ったのだが信じてもらえていないようだ。
「お姉様、愛に身分は関係ないんですのよ! ねぇ、マニカさん」
「そうですわね、ムーラン様」
マニカ様とムーラン様もバチバチに睨み合っているのですけど何があったのでしょう?
私は運ばれてきた紅茶をプルプルする手でゆっくりと口に運んだ。
少し落ち着けた気がする。
私はこのカオスな
「ランフア、ムーラン」
「「お兄様!」」
しばらくすると、
あれは隣国の王子殿下のジュフア様だ。
二人の姫様が
ジュフア様は確か妹姫以外の女性が苦手だと聞いたことがある。
案の定、私を見たジュフア様の
そして、そんなジュフア様の後ろには何やら言い合いをしている王子殿下とお兄様が
「ああ、ユリアスいいところに、この前の軍事
私を見つけるや王子殿下が話しかけてきたので、思わず気がつかれないほど小さな舌打ちをしてしまった。
そんな私を王子殿下は
「隣国の客人の前だぞ」
あんなに小さな舌打ちにまで気がつくなんて、王子殿下の耳はどうなっているのか疑問である。
実際、王子殿下以外の人は何が起きたのか
「すみません。ついストレスで」
「ストレス?
王子殿下は心配そうに私の顔を
私はできるだけ小声で
「王子殿下、しばらく寄ってこないでください。外堀を埋められそうで
「心配してる者に対して寄るなは
王子殿下が呆れた顔のまま私に一歩近づくと、お兄様が私と王子殿下の間に立った。
「ユリアス、殿下に近寄るな」
「
「酷いぞ! お前ら」
お兄様は私に優しく笑いかけた。
その
見ればムーラン様に睨まれている。
ああ、お兄様
「姫君様方、僕の妹がご
お兄様の言葉にムーラン様がパァ~っと笑顔を作った。
解りやすい。
「ほう。
「ユリアスと申します」
私が挨拶をすると、ジュフア様は
「僕の名前はジュフアだ」
「存じ上げております」
ジュフア様は私を上から下まで見る。
結構失礼だが、私も人のことは言えない。
だって、隣国の服の仕立てが
ジュフア様は妹君達よりも大きな宝石のついたブローチをしているのが目立つ。
「ジュフア様のつけているブローチはとても
軽いジャブのつもりで言った言葉にジュフア様は明らかに表情を
「このブローチをご
欲しいとは言ってない。
「いえ、宝石がとれる国ならではの特産物として興味があっただけですの。そのブローチはジュフア様がつけているのが
ジュフア様は
「女という者は宝石にすぐ目が
私も満面の笑みを作った。
「私が欲しいのはジュフア様が今身につけている宝石ではなく、安く宝石を輸入できる
「なんて
ジュフア様は私を見下すように眉間にシワを寄せ、
「僕は強欲な人間とはこの手の小さくて価値のないクズ石でしか契約など結ばん。それでも良ければ契約してやろう」
中には
私はいつも
「そんな小石では何にも使用できないだろうがな」
みくびってもらっては困るのだが、私からしたら小さな石であっても宝石に変わりはない。
私は
「契約書を」
「かしこまりました」
うちの
「この契約書にサインと
「…………」
何かを
「王妃様、先ほどジュフア様がこの手のクズ石であれば契約しても良いとおっしゃったのをお聞きになられましたでしょうか?」
「そうね。ハッキリ聞いたわ」
「王妃様もこうおっしゃってますのでサインと捺印を」
ジュフア様は私を睨みながらサインと捺印をした。
私はその契約書を見て
「ユリアス、悪い顔になっているぞ」
王子殿下の言葉に私は舌打ちしたい気持ちをぐっとこらえた。
「……怖い顔をするな。そんなことより、その小石はどうやって金に換えるんだ?」
王子殿下は私の手にある小さな宝石の原石を一
「
「何か問題が?」
「……だから、売り物にならないだろ?」
「なりますわよ」
私はニヤニヤしながら言った。
「小石だろうがなんだろうが、私に売れないものがあると思ってますの?」
王子殿下は呆れたようにため息をついた。
そんな私の
「
「指輪もいいですわね。私の抱えている銀職人が
「勿論。ユリアスがそこまで言うのであれば、これは売れるな」
「ですわね」
私とお兄様は共鳴するように笑った。
「ジフも、もう少し考えて契約しないとノッガー伯爵家に
王子殿下がジュフア様にいらないアドバイスを始めた。
まあ、
「王子殿下、余計なことを言わないでくださいませ」
「ユリアスも手加減してやれ」
「……
私はやむなく返事をしたが、王子殿下はそんな私を見て大きくため息をつくのだった。
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