第7話 家の外は危険がいっぱい

翌日、俺とクルムは一緒に森の中を探検することにした。


サクラは昨日の首絞めの件により安静するとのことで家にいることにした。


この町は意外と小さく家から数軒で建物は途絶える。どこかの異世界小説にありがちな町とそれ以外を分ける「壁」の類はなくすぐに畑に入る。


道も俺とクルムともう一人が歩けるくらいの幅しかなく、当然だが舗装もされていない。


進行方向右側に木製の柱が等間隔でたっていてその木柱に線がつけられている。


(やっぱりこの世界に電気があるのか…)と俺は思った。


その道の両側は畑になっていてそこには大きな葉の下に赤・黄・緑・紫などの色とりどりの身をつけた植物が生えている。


クルムによるとこれがトナピガモであり昨日食べた汁ものはすべてここからのだという。


「これがトナピガモの畑か…」


妙に感心しながら歩く俺を無表情でじっと見つめる。


やがて畑と森の境に近づくとところどころトナピガモが地中に生えてる芋が見える状態で倒されていて不穏な空気が漂う。


「あっ、畑が荒らされてる。誰がこんなことをしたんだろう」


俺がそうつぶやくとクルムは、


「聞いたことがある。ゴブリンのせいで、畑が荒らされてるらしいよ。駆除すれば高額になるらしい」


森の中に入る。クルムは魔法使いのはずだが俺は特にスキルはない。


その時だった。


「ギィーー!」


音を聞いて2人が後ろを振り返ると1匹のゴブリンが襲い掛かろうとした。


「ゴブリン!?…うわっ」


クルムは俺を突き飛ばして単身で戦おうとしていた。


「あああああああああああああああああああああ」


構えながら叫ぶと右手の空気は固形化し数個のブロックが形成される。


「空気固め!」


そう言ってブロックはクルムの右手から離れゴブリンの体に命中した。


ゴブリンは悲鳴を上げながらどこかに去っていく。


クルムはそれを見るなり俺の手を引っ張り近くの大木に避難した。


その大木は根元が空洞になっていて、数人分入れるスペースがある。


「ハァ…ハァ…ハァ…」


2人は激しく呼吸する。クルムは呼吸を整えると


「たぶんゴブリンはまた襲ってくると思う。だから…」


「あんたに魔力を付与する。そのために儀式を行う。そのための行為が」


突然何が何だかわからないまま俺の胸に手を触れ、顔にクルムが近づき口と口が触れ合う。


ん…ん…


口同士を完全におさえているため呼吸は吐く息を吸うことでしかできない。


2人の心臓は限界まで激しく鼓動する。その瞬間俺の体が光はじめ、クルムが思わず目を閉じる。


光が収まると同時にゴブリンが再び現れた。


「一緒に行くよ」


「あああああああああああああああああああああ」


2人は構えながら叫ぶと手の空気は固形化し数個のブロックが形成される。


「空気固め!」


そう言ってブロックは2人は手から離れゴブリンの体に命中した。


「…ゴブリンを倒したのですか」


家に帰るとサクラがまっていて俺とクルムが倒したゴブリンを見つめていた。


「私がゴブリンを討伐しました」


「俺も忘れるな。」


サクラに俺が魔力を手に入れたことを話した。サクラはふううんと思いながら特に何とも思わなかったようだ。


「ちょっと聞いてですか…ゴブリンの肉はおいしいですが」


俺はボソッとつぶやいた。今日の夕飯はゴブリンの丸焼きになった。

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