第1話 突然の異世界

「あんた誰だ?」

彼が声が聞こえたので目が覚めると魔女が中腰で目の前に座っていた。

魔女と書いたが、どう見てもファンタジー作品に出てくる魔女そのものが立っていたのである。

初対面なのにやたら随分と馴れ馴れしい言葉で声をかけたものだ。

気がつくと彼は森の小路の中で仰向けになっていた。道の真ん中で倒れていれば誰だって怪しむだろう。


天高く高く生長した樹木、見たことも聞いたこともない鳥のさえずり、そして

魔女。彼は初めて違う世界に来たと実感していた。困惑している魔女を尻目に興奮していると何か息が苦しい。前いた世界とは酸素濃度が違うのだろうか?この世界はどうなっているのだろうか?興味は尽きない。その時だった。


「エンヤああああああ!」

魔女が突然彼に襲いかかったのである。魔女が棒で殴り掛かろうとしてきたのだ。

彼は咄嗟に視界に入った木の枝で抵抗を試みた。両手で木の枝を握り思いっきり振り回す。すると魔女は足がひっかかる前にジャンプをし、華麗に避けてしまった。

そのまま後ろに回り込み振り返ると魔女は彼を捕まえた。


魔女は彼の後頭部をつかみ、そのまま背後にあった岩に押さえつけ身動きを取れないようにする。それと同時に魔女の口が彼の口を塞いでキスをする。彼の呼吸は魔女が吐き出す息だけで成り立っていた。


今まで彼女なし童貞(多分)の彼にとって魔女とはいえ初めて女性にキスをされたのである。その何とも言えない気持ちのおかげで抵抗することもできず、ただ魔女が吐き出す息を吸い込んで酸素を取り込むことが精一杯だった。


魔女は彼の異変に気づいていた。彼の脚部と胴部の境界にある突起物━━━陰茎が徐々に膨らみ、心臓の鼓動が激しく打ち続け脈が早くなるのを体全体で感じていた。

魔女は決断した。手を無防備の首にかけて喉仏ごと締め上げたのである。


その瞬間彼は息ができなくなり苦しいと同時になぜか気持ちいい快感が襲ってきた。やがて全身の力が徐々に抜け落ち、見つめあっている魔女の顔と輪郭が徐々にぼやけ始める。左手に持っていた木の枝をつかみ続けることができなくなり下に落としてしまう。そして開いていた目は完全に閉じ、膝から完全に崩れ落ちて倒れた。


魔女は突然倒れた彼を上から見下ろしていた。そして呆然となった。倒れた彼の陰茎から液体が噴出していた。その液体は魔女のスカートにもついていた。ためしになすってみるとただの液体ではなくねばねばしていた。魔女はその液体の正体を悟った。

その直後、彼女から想像できないような悲鳴が辺り一帯をこだました。













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