もっとほかになんかあるやろ
申し訳ないが、またラグビーがらみの話をする。ほんとすみません。でもシーズンだもんでつい。
先月全国大学ラグビー選手権の決勝戦があった。あまり応援したくない大学はあるが、逆に特段応援したい大学もないので、大学ラグビーについては常に平淡なわたしである。どこが勝っても別にいい。一試合一試合を見ている途中で、負けている方に肩入れしたくなったりすることもあるが、基本的には贔屓のチームはない。
結果は今年も帝京大学の優勝で、これで帝京は七連覇という記録を立てたことになる。強い。
試合終了直後のインタビューで、帝京の岩出監督が、対戦相手の東海大の健闘を称える発言をした。リスペクトってやつか。「東海大学さんの好プレーで我々も発奮しました」というような意味のことを。続いて出てきた主将の坂手選手も同じようなことを言った。
相手を尊重するというのはいいことだ。いいことというか、そうあるべきだと思う。でも、勝った方が負けた方をあえて言上げして「褒める」ようなことはしないほうがいいのではないかとわたしは思うのである。戦った相手に敬意と謝意を表明するのは、フルタイム、ノーサイドとなって選手同士があるいは握手し、あるいは抱き合った時点で達成されているのではないか。
「もしさぁ、例えば同じA君っていう男を争った恋敵からわざわざ、『ゴメーン、わたしA君と付き合うことになったけどー、乙子ちゃんもステキやからすぐ彼氏出来ると思うでー。しかもぶっちゃけ乙子ちゃんのお陰でわたしもキレイくなったかもー』とか衆人環視の中言われたらめさごさ腹立つわ。多分憤死するね」
中継の終わらぬうちからわたしがそうコメントすると、いっしょに試合を見ていた夫は、
「それとこれとは話が別やろ」
と阿呆を見る目でわたしを見たが、どこが違うんだか教えてほしい。
うろ覚えで出典もわからないんだけれど、高校の時古典の教科書で読んだ話で、和歌の上手な何某という人(多分藤原とか源とかいう名前)が、別の人の詠んだ歌を「こらぁ上手でんな」と褒めたんだけれども、褒められたほうは「なんでオマエにそんなん言われなあかんねん、上から」とたいそう怒ったという、実力のある人ですら他人を褒めるっていうのはこんなにも難しいことなんですよ、てな教訓譚(?)があったことを思い出す。
勝負の相手に敬意を示したいならば、トライを取ったとき、そして勝ちが決まったとき、ガッツポーズをするのをやめればいいと思うんだけど。
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