第15話
資金調達が済み、いよいよ友恵、トオル、ミチキの1人と2匹は海を越えたカリブ海に浮かぶ島国、ジャマイカへと向かうこととなった。
友恵は今回の計画でトオル、ミチキの2匹の協力が必要な旨を説明し、彼らも本物の海を見たいということもあり、利害が一致。
協力することとなった。
12月2日、12:00ジャスト。
ジャマイカに到着。
22時間のフライトを終え、空港へと到着した。
空港は黒人だらけで、改めて外国に来たことを思い知らされる。
「よーし、お前ら。 まずは空港内で昼食取って、それからポートロイヤル行くぞ」
ポートロイヤルとは、かつて海賊や海軍らの拠点となった町で、現在は地震により半壊してしまった為、かつての活気はない。
その際、人々がキングストンに移り住み、現在はそこが主要都市となっている。
「ポートロイヤルにゃ、大量の沈没船が海に沈んでっからな。 イルカのやつと合流して、早速船探しだ」
「その前に、質問す。 友恵さん、ここの人とのハーフなのに、何で色白なんすか?」
トオルが素朴な質問をする。
「ジャマイカの連中が海賊やってた訳じゃねーからな。 私の祖先はフランス人でよ、宗教の対立でこっちに追いやられて、やむを得ず海賊やってたんだよ」
キリスト教の宗派がカトリックとプロテスタントに分裂し、それを良しとしないカトリック教徒らにより、プロテスタントの宗派の者は追いやられた。
略奪行為というと聞こえは悪いが、彼らも生きるためである。
大航海時代、スペイン軍は新大陸を目指し、そこから略奪してきた物質を更に略奪する、というのが海賊であった。
カリブ海に海賊が多く出現したのは、スペイン軍がジャマイカを拠点にしていた為である。
「まあ、結局天罰が下って、ポートロイヤルは半壊しちまった訳だが」
「天罰?」
「当時、ポートロイヤルは何でも有りだった。 奴隷、酒、麻薬、ギャンブル。 ある意味天国だが、治安はクソほど悪い。 それを見かねた神様が、地震で街を壊したって話だよ。 まあ、私はそんなモン、信じねーけどな」
ミチキが半分落ちかけていた為、話は一旦区切り、タクシーでポートロイヤルへと向かう。
このポートロイヤルには、大砲の残骸や、砦の跡地、囚人 (主に海賊)を捉えるための牢屋などが残されており、それらを見に来る観光客もいる。
沖の方へと向かうと、イルカが頭を出した。
「アンク!」
トオルが片手を上げて呼びかける。
「よーし、じゃあ3匹で手分けして沈没船を探すぞ。 船の名称はトミー号だ。 頼んだぜ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます