人間ヶ現実
━━昼下がり、早帰りの学生の通学路。
「……でさ、……が超面白いの! 」
「マジで?! ありえなーい! 」
「ギャハハハ! 」
少し化粧の濃い、ギリギリの長さのスカートの女子高生たちが、下品にも大声で歩いている。
……グチャり。
「ぎゃあ! 」
1人が何かを踏んだ。
一瞬で静まり返る。
恐る恐るローファーの裏を見た。
踏んだ場所を見た。
踏んでいないものも無意識におなじ動きをする。
「「「ぎゃあああああ! 」」」
同時に叫ぶ。
ローファーの裏についた、薄ら赤の混じる黄色い粘液。
道端には潰れた悍おぞましい数の虫の頭部。
「ちょ、これ身体なくね?! 」
「虫の首?! 」
「げえ! 気持ち悪っ! 」
「……下に羽付きいるみたい」
地面にローファーの裏を強く擦りつけ、汚れを取ろうとする。
それは無数の首に噛みつかれてボロボロになった蝶。
彼女たちにはわからないが、背中を首に食い荒らされているのに細い細い前足の先に最初から潰れた頭を抱えていた。
……意識を無くし、絶命しても尚、想いは強く。
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