目覚め

━━目が覚めるとそこには……。


瓶に入れられた綺麗な女性の首がたくさん、たくさん並べられていた。

はるか上方、下方。前方左右に至るまで。

私は思わず叫ぼうとして、空砲を吐いた。

しかし、呼吸は苦しくない。

私は早くこんなところから出ようと手足を動かそうとした。


……動かない。


それどころか、感覚がない。

恐る恐る横目で隣を見やる。


━━!?


同じ瓶の中にいる。隣も首の瓶。大きさもおなじ。


え? 私、なんで……。


少しずつ記憶が蘇る。

アレは夢ではなかったのか。

甘い甘い夢。好きな人に抱かれ、食べられる夢。

高揚したまま吐き気を催しながら、快感に塗りつぶされて、意識を失った。


私は……死んだ?

違う。夢だ、夢の中でまだ夢を見ているんだ。

悪い夢は早く覚まさなきゃ。

もがこうにも動かない。


周りには眠っているかのような綺麗な女性の首、首、首。

目は冴えていくばかり。


これは夢じゃないの?

現実のような感覚がまとわりつく。


ほんのり明るい部屋。

もう1度、無意識に横目で隣を見やる。

光の反射で見た自分の顔。


……水の中で見た女性……だった。


どういう、こと?


無意識にまた意識を失った。

今度こそ目が覚めることを信じて。


━━だが、これからもここで目が覚め続けるだけだった。

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