愛情の形

━━姫は何も知らない。いや、歴代の女王たちも知らない。


考えたことがあるだろうか。

子種を作った男たちの末路を。


……食われるんだよ、メイドたちに。

子どもを育てるための、ヤツらの栄養分として。


子種を作った男が別の女の子種作りにでもまた参戦しているとでも思っているんじゃないだろうか。

そんなことは決してない。

俺達もまた、1度きりなんだ。


たった一人の女性のためにすべてを捧げる。

子を産んだ女の身体を食べるのは、他のヤツらに渡さないため。


永遠の愛を君に……。


君は考えたろうか。

人間になりたいという君に協力する意味を。


例え中身が君でなかろうと、他のヤツらに触れさせたくないから。

君を独り占めするために協力しただけさ。

その為なら中身が変わっていようと愛そう、骨の髄まで。

君の姿、見た目だけを愛しているわけじゃない。



━━君のすべてを愛している。



もう二度と相見えることがなくても、瞳に、心に焼きつけて耐え、絶えよう。


彼女は考えただろうか。

入れ替わらされたことに。

偶然が重なったと都合よく解釈したのだろうか。


俺への想いですべて受け入れたのか。

心無しか、胸の奥が痛い。


女としてのしあわせの絶頂を味合わせておきながら、子どもを取り出したら食う。

彼女は食われる快楽と死の狭間で、一瞬怯えた顔をした。だが、すぐに優しく微笑んだ。

笑う余裕なんてあるはずがないのに。

痛みと快楽に支配され、意識は殆どないはずなのに。

ナゼ、そんな瞳で俺を……。


◇◇◇◇◇◇◇◇


……メイドたちは何か合ったらしく、首だけになった彼女だけを持ち去り、俺をその場に置き去りにした。



……これが運命ならば人間になって貴女の元へゆきたい。

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